オレ・イヴァ・ロヴァス5 その後

1994年 カリフォルニア大学ロサンゼルス校(UCLA)の名誉教授に任命されました。

1995年 ロスアンゼルス・カルバーシティに拠点を置く、ロヴァス早期介入研究所(Lovaas
Institute For Early intervention:LIFE)を設立しました。
この施設は就学前の子どもを教育することを専門とする研究所で、自閉症や発達障害
を対象に行動介入プログラムを行っています。

プログラムは包括的で、目的は以下のものです。
・言語とコミュニケーションの向上
・社交性/遊び
・地域社会での機会を有効活用できるよう、また成長後に専門的ケアを必要としない
ように幼児の就学前に社会スキルを身につけること。

1999年 アメリカ外科医総局(US Office of Surgeon General)はロヴァスの技術が「不適切
な行動を減らし、コミュニケーション、学習、および適切な社会的行動を向上させ
る」ことに有効であることを認めました。

2001年 臨床小児および青年心理学特別賞キャリア賞を受賞しました。

2002年 「Teaching individuals with developmental delays:Basic intervention
techniques(発達に遅れのある人を教える:基本介入技法)」を出版しました。

2003年 カリフォルニア大学ロサンゼルス校を引退しました。

2005年 ロヴァスの息子、エリックロヴァスが、ネバダ州ラスベガスにロヴァスセンターを
開設しました。

2010年 カリフォルニア州南部ロサンゼルス郡の都市ランカスターの病院で股関節の骨折から
入院し、前立腺がんが骨に転移していることが発覚して二週間後、83歳で亡くなり
ました。また数年前からアルツハイマー病と診断されていました。

UCLAでのロヴァスの教え子で、自閉症スペクトラム障害センター長のジャッキー・ウィンからの手紙を紹介します。

昨日、敬愛する恩師、かけがえのない友人イヴァ・ロヴァスが、最愛の妻ニーナに抱かれて帰らぬ人になりました。
自閉症とその家族を守るため、果敢に挑戦し逆境を生きた、恐れを知らぬパイオニア。
子どもの生活を必ず改善できると信じて、科学的に実証された、革新的で有効な治療法をどこまでも追求し続けた巨人。
私は長年イヴァの下で仕事をしました。
彼は多くの専門家の侮蔑的な個人攻撃と、非礼な振る舞いにさらされ続けました。
自閉症の分野で勤勉に努力しても、彼ほど成果を上げ得なかった人たちからです。
剛直なイヴァは、不当な攻撃に雄々しく立ち向かいました。
自閉症の子どもと家族に最良のケアを受けさせるためです。
さらに皮肉なことに、行動分析学の“専門家”からも、自閉症の家族と子どもを守らなければなりませんでした。
イヴァの講義やセミナーに出ただけで、イヴァに行動分析両方を教わったと自傷する治療者の稚拙なセラピーから彼らを守るためです。
イヴァは友人ともスタッフとも支援する家族とも、率直で寛大な、真実の人間関係を築くことができる人でした。
その愛と薫陶と人間的強さと献身によって、私の人格は形成されました。
彼は挑戦的であり、完璧とはいえない癖の強い性格の持ち主でしたが、いつもベストを尽くすよう求めました。
イヴァの人生はいろいろな意味でサーカスのように愉快で騒々しく、そしていつも精一杯に生きていました。
夫のジョーと私にスキーを教えようと、72歳の彼がアイダホ州の山荘近くのサンバレーの山頂まで二人を引っ張り上げ、そして無事に連れ戻してくれました。
この悲しい日に、偉大な恩師の人柄を偲び、、心からの感謝の気持ちをともに捧げたい。
私たちはこれから、イヴァの達成した前人未到の偉業を、全力を尽くして継承しなければなりません。
それが残された者としての責務です。

2011年 「Teaching individuals with developmental delays:Basic intervention
techniques」が中野良顕(よしあき)先生により邦訳されて、「ロヴァス法による行
動分析治療 自閉症児の教育マニュアル」として出版されました。

ロヴァスの言葉

もし私のところに4歳か5歳のアドルフ・ヒトラーを連れて来たら、彼を善人にすることができたかもしれない。

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