ルール支配行動1 ルール支配行動とは

ルール支配行動(rule-governed behavior)

ルール支配行動は、聞き手の行動とし定義されます。

・「~しなさい(していてください)」という他者からの依頼や命令(マンド)に従います。

・他者の体験「○○という場所で△△という行動をしたら××という結果になった」を利用
して、自分自身も同じ行動をする。

・「○○で△△という行動をすることには××という重大な危険が伴う」を利用して未然に
危険を回避する。

・「○○という行動をすれば、将来△△が実現する」に基づいて、長期支店により努力を
重ねて大きな成果を獲得する。

といった言語的記述によって行動が制限されることです。
これにより、直接体験していない有益な行動を始めたり、直接体験がなくても危険を回避したり、何年も先の「大きな好子」出現に向けて日々の努力を重ねることが可能になります。
なお、上記で「ルール支配行動は聴き手の行動である」と述べましたが、自分自身で発したルールに自分がしたがうことも含まれます。

ルール支配行動の定義とは立場により若干異なりますが、ここでは暫定的に、ルール支配行動とは「行動随伴性を記述したタクトが生み出す言語刺激(ルール)」によって制御される行動である。
という定義とします。

オペラント行動は、行為者の直接体験、つまり特定の先行条件のもとで自発し、その結果によって強化または弱化されることで変容していきますが、人間の場合は他者から「○○すれば××が獲得できる」、「あの場所で○○すると自己の危険がある」といった言語的教示を受けるだけでも行動を増やしたり減らしたりすることが出来ます。
これらを「ルール支配行動」と呼び、直接効果的な随伴性によって強化または弱化される「随伴性径性運動(contingency-shaped behavior)と区別することが出来ます。

日常生活の中から多数の例を挙げられるように、人間は自ら直接体験を経なくても社会に適応し、複雑なスキルを獲得することが出来ます。
他者からの教示(制度、法律、慣習などを含む)に従うばかりでなく、自分自身で決めた目標を達成するために継続的な努力を重ねることもできます。
ルールの中には、結果部分が暗黙のうちに仮定されていてあえて記述されていない場合もあります。

1 「進入禁止」の道路標識
「この先に進入できません」という弁別刺激ではなく、「この先に進入すると正面衝突の
危険があり、かつ交通違反として罰せられます」というような結果を暗黙のうちに含んで
います。

2 軍隊で指揮官が「進め」と発した命令
その命令に従わなければ罰せられるという結果を暗黙のうちに含んでいます。

3 受験生が「毎日3時間勉強しよう」という決意
「毎日3時間勉強続ければ志望校に合格できる。」という結果が含まれています。

強化もどき

見かけ上、好子や嫌子の随伴性が行動を制御しているようであっても、実際は行動が好子をもたらす条件をタクトしたルールによって、その行動が増えることを「強化もどき」と言います。
強化もどきは、ルールの支配を受けていることで起きる現象です。「随伴性もどき」ともいいます。

例 彼氏がくるというので部屋をきれいに掃除をする。

掃除をする行動は、彼氏が喜ぶという好子によって強化されているように見えるものの、掃除をしてから喜ぶまでには時間がかかるので、60秒ルールに反しています。
この場合、掃除をするという行動は部屋をきれいにしておくと彼氏に喜ばれるというルールによって制御されているといえます。

例 自分が見たい動画をダウンロードする。

ダウンロードはダウンロードのボタンをマウスでクリックして始まり、完了するまで時間がかかります。ダウンロードすれば動画が見れるというルールに制御を受けています。

ルールによって制御されるルール支配行動に対して、随伴性によって制御される行動を随伴性傾性行動と言い、その随伴性を直接効果的随伴性と言います。ルール支配行動の随伴性は間接効果的随伴性と言います。

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする