発達障害の原因とメカニズム、治療12 注意欠陥/多動性障害ADHD(治療編)

ADHDの治療・TMSについて

経頭蓋磁気刺激法(transcranial magnetic stimulation:TMS)により、ADHDの症状が改善されたという報告があります。
TMSは強力な磁界をかけることで、脳の特定の部位の神経細胞の活動を活性化・抑制する技術で、うつ病の治療には日本でも2017年に承認されて使われ始めています。

TMSは高度に収束されたパルス磁場を利用し、瞬時に磁場を変化させることでファラデーの法則によって大脳皮質に微弱な渦電流を発生させ、ニューロンを刺激する非侵襲的(体を傷つけない)な治療です。
ただし頭皮にピリピリと痛みを感じることがあります。
前頭前皮質に少量の電流が誘起されると、局部ニューロンが脱分極、シナプス経由で脳深部構造を活性化します。
活性化された脳の領域での血流量および糖代謝が増大し、その結果、症状が改善される仕組みです。
TMSを利用した治療法を反復経頭蓋磁気刺激法(rTMS)といいますが、一般にTMSという事が多いです。
1985年、イギリス・シェフィールドのロイヤルハラムシャー病院(Royal Hallamshire Hospital)で医学物理学および臨床工学科のコンサルタント臨床科学者、アンソニー・T・バーカー(Anthony・T・Barker)が発見しました。
バーカー博士はTMS開発の功績が認められて2016年にオランダ・アムステルダムに拠点を置く国際的企業のエルゼビアから国際脳刺激賞を受賞しました。
1988年に九州大学特任教授の上野照剛(しょうごう)博士によって8の字コイルが開発され、限局した大脳皮質への刺激が可能になり、脳科学研究は飛躍的に進歩しました。
8の字コイルは2つの円形コイルを平行に配置し、それぞれに流れる電流を逆方向にすることにより2つのコイルの中心交点部で単独のコイルの2倍以上の電界強度となり、焦点を絞った刺激ができることになりました。
この8の字コイルの発明と脳磁気科学の研究により上野先生は2010年に国際生体電磁気学会の最高賞であるダルソンバール(d’Arsonval)賞を受賞しました。
2015年、ネゲヴ・ベング=リオン大学の臨床試験に参加した患者によると、医師は電磁石のついた帽子を頭にかぶせ、強力なパルスを送って脳の奥に弱い電流を発生させました。
TMSは従来の電子ショック療法と違って、麻酔をかけずに施術します。その患者は1回30分、週5回の治療を3週間続けました。
効果はあったと患者は言い、同様の症例報告は他にあります。
ネゲヴ・ベング=リオン大学(Ben-Gurion University of the Negev)はイスラエル南部地区のベエルシェバに拠点を置く国立大学です。
1969年、イスラエル国土の6割以上を占めるネゲヴ砂漠地域の開発のために設立された大学で、1974年にイスラエル建国の立役者で初代首相のダヴィド・ベン・グリオンが亡くなった後、ダヴィド・ベン=グリオン大学と改名されました。
学部は基礎工学部、健康科学部、自然科学部、人文社会学部、ギルフォード・グレイザー経営学部の5つあり、2万以上の学生が学んでいます。
TMSを開発したイスラエルのブレインズウェイ社では、2018年に成人53人を対象に臨床試験で優位な効果があったと報告しています。
アメリカ・サンディエゴにあるアメリカ脳刺激クリニックの医師はADHD患者100人に施術し、ほとんどの症状の改善が見られたと言う事で、TMSを支持しています。
また、ストラテラ(アトモキセチン)との併用治療は単独治療よりも効果があったとの研究報告もあります。

発達障害の原因とメカニズム、治療9~12 注意欠陥/多動性障害ADHD 参考サイトWikipedia
つのおクリニック・東京都渋谷区
市ヶ谷ひもろぎクリニック・東京都新宿区
医療法人永朋会 名駅さこうメンタルクリニック・愛知県名古屋市Facebook(2019年)
ネゲヴ・ベング=リオン大学Facebook
日本イーライリリー株式会社 大人のためのADHD.co.jp
AFP BB NEWS(2012年)
LITALICOりたりこ発達ナビ(2016年)
Newsweek日本版(2017年)
いつも空が見えるから(2017年)
科学技術振興機構JST(2018年)
自費研online(2018年)
Nature genetics(2018年)
朝日新聞デジタル(2018年)
和歌山県立大学医学部(2018年)
日刊工業新聞ニュースイッチ(2018年)
KID ACADEMY COLUMN(2018年)
Neumo(2018年)
ニコニコニュース(2018年)
SoySourceコラム(2018年)
Newsweek(2019年)

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