ヴォルフガント・ケーラー2 その後

1923年 日本の心理学者である佐久間鼎博士は文部省在外研究員として心理学研究のためにド
イツへ留学、ベルリン大学でケーラーからゲシュタルト心理学を学びました。
言語学者でもあった佐久間は「ゲシタルト」と称し、ゲシュタルト心理学を日本に
紹介しました。

1929年 「ゲシュタルト心理学」を出版。ブーバ/キキ効果(Bouba/kiki effect)を初めて
報告しました。命名はアメリカの神経科医、ヴィラヤヌル・S・ラマチャンドラン
(Vilayanur S Ramachandran:1951~)がしました。

ブーバ/キキ効果

これはある国でブーバとキキと呼ばれる2つの図形です。どちらがブーバでどちらがキキかという質問をすると、回答者の母語や年齢にかかわらずおよそ98%もの人が星形の図形を聞きと答えるという実験結果でした。

これがブーバ/キキ効果で、言語音と視覚情報のイメージと一致関係を表すものです。98%はかなり高い数字ですが、それだけ互換は人々の潜在意識に刷り込まれているという事でしょう。

1930年 「ゲスタルト(ゲシュタルト)心理学」が佐久間鼎博士の邦訳で出版されました。

1933年 物理学者マックス・プランクとともに、ヒトラーに対してユダヤ系教授の迫害や
追放を「一般ドイツ新聞」で激しく抗議しました。
それが号外で広まり、ベルリン大学の彼の研究所を、突撃隊(SA)の制服を着た学
生たちが嗅ぎまわり、彼のゼミナールを妨害したので、ケーラーは責任者を叱責しま
した。
すると責任者は縮み上がってしまい、こんな風に振る舞う勇気ある教授がいるとは
と、あっけにとられながら驚きと賛嘆の念を口にしました。

1935年 反ユダヤ政策を激化させるナチスドイツの迫害を恐れ、ベルリン大学の助手を解任さ
れたのを機に仲間とともにアメリカ合衆国に亡命しました。ケーラーはバルト・ドイ
ツ人(ドイツ系エストニア人)で非ユダヤ系ながら、同じゲシュタルト心理学を代表す
るヴェルトハイマーやコフカがユダヤ系の心理学者でした。

ペンシルベニア州のスワースモア大学心理学教授に就任し、そのまま移住しました。

1956年 ニューハンプシャー州ハノーバーにあるダートマス大学の研究教授になりました。
その後まもなくアメリカ心理学会の会長に就任しました。

1967年 ニューハンプシャー州エンフィールドにて80歳で亡くなりました。

2001年 ドイツ・ライプチヒにヴォルフガング・ケーラー記念霊長類センターが、マックスプ
ランク進化人類学研究所(MPIEVA)の付属施設として、ライプチヒ動物園内に設立
しました。
そこでは霊長類の心理学実験を行い、その様子はガラス越しに一般公開されて
います。

ケーラーの言葉

「偉大な発見は3つのBでなされる。」

3つのBとは「Bus,Bath,Bed」です。インスピレーションがひらめくのは、乗車中、入浴中、就寝時という場面という事でしょう。

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