B.F.スキナー 1 ハーバード大学着任まで

バラス・フレデリック・スキナー(Burrhus Frederick Skinner,1904~1990)

アメリカ合衆国の心理学者で実験的行動分析(experimental analysis of behavior)の創始者です。新行動主義(Neo behaviorism)のリーダーの一人で、自らの立場を徹底行動主義(radical behaviorism)と称しました。
コロンビア大学のフレッド・S・ケラー(Fred.S.Keller)とは親友です。

1904年 3月20日ペンシルベニア州サスケハナ(Susque hannaDepot)生まれ。父は弁護士で
した。2歳年下の弟は16歳の時に脳出血で亡くなっています。

無神論者となったスキナーは、当初、作家を目指しニューヨーク州のハミルトン・カレッジ(Hamilton College)へと通い英文学を学びますが、カレッジ卒業後も作家としての道は開けませんでした。

1926年 ハミルトン・カレッジを卒業し学士号を取得。大学在学中にワトソンの行動主義に出
会いました。

1928年 ハーバード大学で、心理学を学び始めました。

1931年 ハーバード大学卒業後、ニューヨーク市マンハッタン区ダウンタウンにあるグレニッ
チ・ヴィレッジ(Greenwich Village)に下宿して小説を書いていましたが、27歳で
ハーバード大学で哲学博士(Ph.D)を取得しました。

大学で教鞭を取るかたわら、スキナー箱と呼ばれる実験装置を用いた行動研究を行います。スキナー箱は、スキナーがハーバード大学の大学院生だったころに作成した、オペラント条件づけに関する実験に用いる装置です。

1936年 ミネソタ大学に1945年まで赴任

1938年 オペラント条件づけについてマウスやハトを用いて体系的に研究を始めました。

第二次世界大戦の中、スキナーによってプロジェクト鳩(Project Pigeon)という、ハトによってミサイルを誘導しようとする試みがなされました。このような発想にNDRC(国家防衛研究委員会)は研究費を支出したものの、あまりに非現実的であると考えられて1944年にこのプロジェクトは中止されました。

1948年にプロジェクト鳩は、プロジェクトオルコンとして海軍によって復活しました。オルコン(Orcon)とはorganic controlの略称です。しかし電気的な誘導システムの信頼性が証明されたことにより、このプロジェクトは1953年に終了しました。

1945年 インディアナ大学に転任

1948年 ハーバード大学心理学エドガー・ピアス記念講座教授(Edgar Pierce Professor)とし
てハーバード大学に戻り、1974年まで勤めました。
ウォールデン2(Walden Two)出版

ソローの「ウォールデン:森の生活」を下敷きにして心理学的ユートピアを描いた
「ウォールデン2」という応用行動分析がテーマのサイエンス・フィクション小説を
出版し、ペーパーバックとなってロングセラーとなりました。

当時はまだ人間の行動を科学的根拠に基づいて修正する方法が存在しなかったため、
サイエンス・フィクションと呼ぶことができました。本作品の命題は「人間を含むあ
らゆる生命体の行動は環境変数によって決定されるものであり、環境変数をシステマ
チックに調整することで理想郷にきわめて近い社会文化体制を創出できるというもの
です。

この本の読者たちが1967年バージニア州ルイーザ郡でツイン・オークス・コミュニ
ティーを開始、また1971年メキシコ・エルモシージョで共同体ロス・オルコネスが
立ち上げられるなど実際にコミュニティーを立ち上げ、現在も続いています。

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