エドワード・C・トールマン(Edward Chcase Tolman,1886~1959)

エドワード・C・トールマンについて

アメリカの心理学者。ワトソンの行動主義を否定し、巨視的立場から目的論的行動主義を唱え、行動主義心理学に独立変数と従属変数を結び付ける媒介変数(intervening variables)を導入しました。

独立変数は行動の原因となる要因で操作的に定義できるものをいいます。環境刺激、生理的要求、遺伝、以前の学習などで、従属変数は操作によって測定される結果を行動の方向や固執度、熟達度等をいいます。

全ての行動は目標に方向づけられているとし、学習は目的に関わる高度に客観的な証拠事実であると述べています。そして、行動は全体的な目的指向的反応であり、認知過程によって導かれるものとして、目的論的行動主義を主張しました。その立場は行動主義のゲシュタルト理論への融合として注目されました。

操作主義(operationalism)という科学的概念はそれを測定する手続きによって定義されなければならないという考え方を導入して、期待、仮説、認知地図と言った概念をその理論の中核において、心理学の体系化に貢献しました。

サイン・ゲシュタルト説を考案し、提唱しました。サイン・ゲシュタルト説とは、記号(sign)と意味(signification)の相関を類推することで学習が成立するという理論であるS-S理論の一種です。部分性(サイン)から全体性(ゲシュタルト)が予測されることで行動が形成または変化すると考え、それが期待となって目標対象へ向けた行動が現れてくるというものです。

1886年 マサチューセッツ州ウェスト・ニュートンで生まれ。マサチューセッツ工科大学を卒
業しました。

1915年 ハーバード大学大学院で学位を取得しました。

1918年 ノースウェスタン大学を経て、カリフォルニア大学バークレー校で1954年まで教鞭
を取りました。

その後ドイツに留学しクルト・コフカ(Kurt Koffka,1886~1941)のゲシュタルト心理学に触れ、その後の理論形成に大きな影響を及ぼしました。

ゲシュタルト心理学とは部分に分割できない心理現象の全体性を取り扱う心理学で、全体的なまとまりの事をドイツ語でゲシュタルト(gestalt)といいます。要素主義のヴントの心理学に対する批判として誕生しました。

1932年 「動物と人間における目的的行動」(Purposive Behavior in Animals and Men)を
出版しました。

この著書でトールマンは、動物の巨視的な目的的行動(molar behavior)と微視的な
反射的行動(molecular behavior)を区別することを主張しました。巨視的な目的的
行動は、例えば空腹を感じたら食物を食べる、どこかに行きたいから自動車を運転す
る、ラットが迷路を通り抜けるといった一般的な行動を指しています。一方、微視的
な反射的行動というのは、運動をするためにどの筋肉が使われている、感覚神経はど
のように反応しているなどの生理的な運動のことです。

1948年 ネズミと人間における認知地図(Cognitive Maps in Rats and Men)を発表。これは
ネズミの試行錯誤実験でネズミに迷路の問題を解かせます。

ゴールにエサを置かなければ、学習が見られないものの、その後にゴールにエサを置
くと学習が成立しました。そのことから、エサを置かなかった時からエサを置いた間
にも、潜在的に学習が行われていたと考えられるというものです。

潜在学習(latent learning)とは
報酬なしの時期に潜在的に進行していた学習が、報酬によって顕在化するという学習
の形態を潜在学習と言います。

1959年 カリフォルニア州バークレーで73歳で亡くなりました。

2017年 デビット・キャロルが「目的と認知:エドワード・トールマンとアメリカ心理学の転
換」(Purpose and Cognition:Edward Tolman and the Transformation of
American Psychology.)を刊行しました。

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