プレマックの原理について

プレマックの原理(Premack principle)

行動主義心理学研究者であるデイヴィッド・プレマック(Devid Premack)が提唱した、特定の行動を強化するための原理が「プレマックの原理」です。
プレマックの原理では、2つ以上の独立した行動の強化がそれぞれ別々のものではないと考え、ある「非自発的な行動」を強化するためには、それ以外の別の行動(別の行動)を一緒にすることが効果的であるとされます。

行動主義心理学は、行動の生起頻度を「条件反射・正と負の強化子(報酬と罰の刺激)」でコントロールしようとする学問分野で、心理臨床分野でも行動療法の基礎理論として応用されています。
プレマックの原理というのは、「高頻度で生起する行動=自発的・意欲的な行動」の発生頻度を増やせるというシンプルな原理です。
要約すると「より生起確率の高い行動は、より生起確率の低い行動を強化する。」というものです。

報酬(正の強化子)と罰(負の強化子)を用いて行動の生起頻度を調整するオペラント条件づけと似た部分もありますが、プレマックの原理では「自分が好きな報酬になる行動(高頻度で起こる行動)」を効果的に用いることで、『自分が嫌いな罰(不快・ストレス)になる行動(低頻度でしか起こらない行動)』を増やせることが示されています。

「やりたい行動・自発的な行動」を後回しにして、「やりたくない行動・義務的な行動」を先にさせる事で、“やりたくない行動(義務的な行動)”が終わった後の報酬(正の強化)として”やりたい行動(自発的な行動)“が機能するという事です。

プレマックの原理の例

例えば「スイーツを食べるという高頻度な行動」の前に「5kmのランニングをするという低頻度の行動」を持ってきて、5kmの距離を走り終えればスイーツが食べられるという条件づけをすると、スイーツの報酬がないときよりもつらいランニングの行動が生起しやすくなるといったことがあります。

「オンラインゲームをするという高頻度な行動」の前に「苦手科目の勉強をするという低頻度な行動」を課題亭にさせることで、その子どもは何とかして勉強や宿題をやり終えようとするモチベーションが高まりやすくなり、勉強をした後の報酬としてゲームが機能します。

プレマックの原理のポイント

1 寝る前にはできないこと
睡眠は習慣化された行動ですが、睡眠欲は強い欲求ですので、その前に何か行動を実施す
るということは難しいです。

2 関連性のない行動は実施しづらいこと
例えば、テレビを見る前に歯磨きといった行動は関連性が薄く、現実場面では実施しづら
いです。同じ場面を利用できるような行動をペアにすることが望ましいです。

プレマックの原理の限界と問題点

プレマックの原理による行動制御の限界・問題点は「高頻度な行動(好きなこと)の報酬性・刺激性」が強すぎてそつらばかりに注意・関心が向かいやすくなり、先に終わらせるべき「低頻度な行動(嫌いなこと)の課題性・義務意識」を達成しづらくなるという事になりますが、その問題点を和らげるためには「高頻度な行動の刺激を弱めること・低頻度な行動の目標水準を引き下げること」などの工夫が必要になってきます。

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