自然環境教育NET(Natural Environment Teaching:ナチュラル・エンバイロメント・ティーチング)について

自然環境教育とは
NET(Natural Environment Teaching:
ナチュラル・エンバイロメント・ティーチング)

自然環境教育(以下NET)はDTTへの批判から生まれたもので、自然環境でのトレーニングです。自然環境で応用行動分析の原理を利用して行われます。

インシデンタル・ティーチング(Incidental Teaching)、ミリューセラピー(Milieu Therapy、環境調整療法)、基軸行動訓練(Pivotal Response Training:PRT)、言語行動(Verbal Behavior:VB)のマンド訓練などABAの中の色々な方法を含んだ療育方法の総称です。

NETは子どもとの信頼関係を築き維持するために、セラピーセッションを通して重要な新しいスキルを教えることで個人のやる気を引き出します。アイデアは個人の興味や動機の瞬間を捉えて、それをスキル習得の指導とその一般化に使用します。NETは、基本的な機能的コミュニケーショントレーニングから高度な言語トレーニング、様々な社会的に重要なスキルなど、新しいスキルを教えるために使用されます。

基本的に子どもを座らせて勉強させるような形態ではなく、自然な生活の流れや遊びの中でいろいろなスキルを教えていきます。自然な場面で、自然な強化子を用いた指導をします。

指導的統制はセラピストと子どもが1対1となるペアリングによって行われます。セラピスト自身が子どもの強化となる役割を果たします。セラピストが強化の対象となる事で、子どもはセラピストの周りにいたい、近づきたいと思うようになります。治療中に様々な瞬間に起こりうる環境の変化のために、ペアリングは新しいスキルを教えるのに不可欠なものになります。

NETはまた、新たに学んだスキルを構造化された1対1の治療環境から自然環境に移すためにも実施されています。

子どもが欲しいものを見つけた時に教育が始まるという事で例えばインシデンタル・ティーチングでは、子どもが棚にあるオモチャが欲しいとき、棚の上にあるオモチャを動機づけに使って(強化子として)教えたい行動を教えます。言語行動(VB)のマンド訓練では「ちょうだい」といった要求(マンド)を教えます。

自然環境訓練の利点

子どもが何が欲しいと思ったものや活動を使うので、子どもの取り組む姿勢が違います。ただし、子どもの興味のあるものが見つかるまで待っていたら、教えられる機会が限られてしまします。
ミリューセラピー (環境調整療法)の中では、欲しいものが見つかったときに、それを使って5回連続で教育の試行を繰り返します。
子どもが教育のきっかけを自ら作りますので、療育側が(このように教えようという)準備や計画がしにくく、理念は立派ですがそう簡単に行かないわけです。

NET研究について

一つ一つの行動を教えた研究はあっても、DTTのようなプログラム全般の結果の研究がありません。子どものやる気を大切にするという理想は共感できるものの、実践は難しいのがNETの印象です。

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