行動分析の資格について
国際資格は、1998年アメリカ・フロリダ州で行動分析士認定協会(BACB:Behavior Analyst Certification Board)が設立され、行動分析士資格認定協会(以下BACBと略)による試験はフロリダ州資格試験を用いて、2000年に実施されました。
フロリダ州資格試験テストは段階を経て2004年に廃止され、BACBのみが資格認定の母体になっています。BACBは独立した非営利団体です。
この団体は行動分析サービスを受ける消費者の保護を、専門家の増加、その専門性の確立と普及とともに系統的に実施することを目的としています。
BACBによる資格認定プログラムは、2010年、全米資格認定委員会(the National Commission for Certifying Agencies:NCCA)により、認証されました。
ABAセラピストには同協会が認定する認定行動分析士(BCBA:Board Certified Behavior Analyst)とその下のレベルにある認定準行動分析士(BCaBA:Board Certified associate Behavior Analyst)という2つの国際資格があります。
さらに要件を満たすことでその上の博士課程(BCBA-D)もあります。
家庭教師レベルの資格として、登録行動テクニシャン(RBT:Registered Behavior Technician)もあります。
協会認定行動分析士(BCBA)試験資格の資格要件
1 資格要件は、大学院またはそれに準ずる認定高等教育機関から、心理学、教育学、または
行動分析学の修士号を持っている必要があります。
2 大学院レベルで、BACBタスクリストと専門職の倫理基準を網羅するための270時間の行動
分析で要求されるカリキュラム課題(コースワーク)を修了。
3 1500時間のスーパービジョンつき実地研究と実習経験(field work and produvt
experience)を実施、そのうち5%(75時間)をBCBAにより直接指導を受け、完了している
こと。
資格要件の一部が免除される規定として、大学教授・オプションとポスドク経験オプションがあります。
これは、それぞれ一定の要件を満たしている場合、カリキュラム課題(コースワーク)や実習経験が免除されるというものです。
協会認定準行動分析士(BCaBA)試験資格の資格要件
大学の学士を持っており、180時間の行動分析で要求されるカリキュラム課題(コースワーク)を修了、1000時間のスーパービジョンつき実地研究と実習経験を実施し、そのうち5%(50時間)をBCBAにより直接指導を受け完了すること。
BCBAとBCaBAの協会資格認定試験
試験資格要件を完了後に、資格試験に合格する必要があります。試験は選択問題制で、BCBAは150問、BCaBAは132問の質問に回答します。
言語は英語、スペイン語、イタリア語、ヘブライ語、中国語(簡体体、BCaBAのみ)から選ぶことができます。
登録行動テクニシャン(RBT)の資格認定の要件
高校卒業および同等の資格が必要で、40時間の行動分析の基礎トレーニングを90日以内で、測定、評価、スキルの獲得、行動の減少、記録と報告、専門的な職業上の行為と倫理規定、業務基準を網羅し、完了させる必要があります。
受験資格を完了した際に、技量アセスメント(RBT Competency Assessment)を受ける必要があります。
RBTのトレーニングと技量アセスメントの評価は、BCBA,、BCaBAによって実施されます。
資格更新と登録
BCBAとBCaBAは、所得後2年ごとに、継続教育単位(CEU)を取得して資格を更新、認定することが出来ます。
BCBAは32時間、BCaBAは24時間の研修、論文発表などを通して単位を取得することができ、また再試験合格による更新もできます。BCaBAはBCBAによるスーパービジョンを受ける必要もあります。
RBTの資格更新は、毎年RBT技量アセスメントをBACBに提出する必要があり、またBCBAまたはBCaBAによるスーパービジョンを受けなけらばなりません。
全世界で約2万人のBCBA-D、BCBAの資格保有者がおり、日本人では14人で、日本国内在住の人はその半分程度です。(2015年時点)
また、最上位のBCBA-Dを保有している方は日本に二人だけで、田中桜子先生(株式会社グリーンパティオ代表取締役・北海道函館市)と竹島浩司先生(なごや自閉症治療教育相談室代表・愛知県清須市)です。(2018年時点)
日本での資格取得
日本ではマルチABA(Multicultural Alliance of Behavior Analysts)によるコースがBACBより認められ、資格取得が可能になりました。
日本の民間資格としては特定非営利法人ADDS(東京都新宿区)から、「初級ABAセラピスト養成」の資格認定があります。
これは、約40単位の養成研修を通じて、ABAに基づいた療育を座学と実線で学び、研修終了後に認定テストに合格、その後12回分のフォローアップ研修を修了することで、初級ABAセラピスト養成の認定申請を行う事ができるというものです。
ABAによる療育が学べるオンラインスクールを運営するTogether合同会社(富山県富山市)が認定するABAセラピストは、40時間の講習と実技試験により、RBTの修了証も発行されます。
NPO法人つみきの会(兵庫県明石市)のでは、認定資格としてABA療育支援員があります。
これは、ABAの一般的な知識と不連続試行法(DTT)を中心とするABAセラピーの基礎スキルを身につけた人材の育成を目的にしており、ABA支援者養成講座に参加して、筆記と実技の修了試験に合格すると、仮認定を受けられます。
その後、つみきの会主催の「ABA支援者継続講習会」に最低1回参加して、二次試験に合格することで正式に認定されます。