目的指向的システムデザインと反応遮断化理論、行動修正理論について

目的指向的システムデザイン
(Goal Directed Systems Design)

リチャード・W・マロット(Richard・W・Malott)が提唱した行動分析システムのツールです。
はじめにシステムの究極の目的を設定し、次に究極の目的を達成するのに必要な目前の目的をいろいろのレベルで設定し、最後に、目前の目的を達成するのに必要な最初の目的を設定します。

反応遮断化理論(Response deprivation theory)

反応遮断化理論はプレマックの原理を発展的に継承した、現在最も支持されている強化の定性的理論です。
これは「2つの行動が何も制限されていない(ベースライン)時に比べて制限(遮断化)されると、より制限された行動は、より制限の少ない行動の強化子として働く」という考え方です。

この理論は(1)自由接近事態における反応配分比と(2)スケジュールによる反応遮断化の程度の2つによって、配分点からの反応の増減、すなわち強化と弱化の関係が決定されます。

配分点を変えるかスケジュールを変える事で、反応を増加させたり減少させたりすることが出来ると考えることから、確立操作と強化スケジュールを関係づけた理論ということもできます。
このことから、反応の種類だけで決定されるものではない事が示され、あらかじめ強化子として働く反応も、いつも強化子として働く反応もないという相対的な関係性であることから、それを強化相対性(reinforcement relativity)と呼びます。

強化相対性という考え方は、以下の役割を果たしました。

1 強化の行動的意義を行った。

2 場面間転移性を否定した。

場面間転移性とは、強化子の効果がある実験場面で確認されれば、その事実を用いることで
他の実験場面における効果を予測できるということです。

3 刺激―反応パラダイムから反応―反応パラダイムへの脱却を促した。

4 ある活動への従事など刺激とは考えにくい事象を強化子として利用可能となり、応用場面
に貢献した。

5 強化理論と他分野の理論を結合させる仲介役となり、理論的発展に貢献した。

行動修正理論(behavior modification theory)

「反応遮断化理論」によって、新しい理論の発達を刺激しました。
すなわち、「制限されない(ベースライン)事態において動物が自分の行動を配分する方法が、最も望ましい時間を過ごす方法である。」と仮定します。この状態を「至高点」と呼びます。
生物の行動が何らかのスケジュールの要求によって制約されるときはいつでも、できる限り至高点に近づくように動物箱の行動を配分すると考えます。
とすれば、「強化」と呼んできた過程は実際には一つの特定の反応を強めるのではなくて、むしろ環境によって強制された制約に適応するために行動の時間を再配分していることだと考えられます。
この考え方に従えば、労働者が休日にごろごろしているのも、その者にとっての新たな適応とも考えられます。

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