1975年 「Social Learning and Personality Development(社会学習とパーソナリティの開
発)」を出版しました。
1977年 「社会的学習理論―人間理解と教育の基礎(Social Learning Theory)」を出版しま
した。
社会的学習理論
社会的学習理論とは、それまでの刺激と反応のみに限定された理論ではなく、認知過程を重視した学習過程を示しています。
社会的学習理論における観察学習の4つの過程は以下の通りです。
1 注意過程(attentional processes)
観察学習が成立するには、まずモデルの行動あるいは行動の特徴に注意を向けなければなり
ません。
2 保持過程(retention processes)
注意過程によって得られた情報は、後の行動に反映させるために記憶として取り込み、保持
する必要があります。
3 運動再生過程(motor reproduvtion processes)
保持された情報を使って実際に行動する過程です。バンデューラは記憶の中で保持されてい
る情報は抽象化される場合があると仮定しており、これはオペラント条件づけで生じる般化
などを示しています。
また、行動ができるかどうかは、個人が持っている既存の知識によって左右されるものとし
ています。
4 動機づけ過程(incentive and motivational processes)
上の3つは新しい行動を獲得する過程ですが、その後の行動に反映されるかどうかはこの動
機づけ過程によります。
動機づけは主に外的強化、代理強化、自己強化の3つがあります。
1 外的強化(external reinforcement)
その行動が適切に行える状況つまり外的な環境によって強化される場合です。
2 代理強化(vicarious reinforcement)
モデルが何らかの強化を受けていることを観察している場合で学習者もその行動を取るこ
と によって強化が得られるという期待が高まることで強化される場合です。
3 自己強化(self reinforcement)
自分自身で行動に強化を与える場合です。
1981年 西部心理学会の会長に選出されました。
1986年 「Social Foundations of Thought and Action:A Social Cognitive Theory(思考
と行動の社会的基礎:社会認知理論)」を出版しました。
社会的認知理論
社会的認知理論はバンデューラが提唱し、人間の行動を、個人の要因、個人を取り巻く状況、自己および他者の行動の相互関係の中で捉えることで人間行動を説明した広汎な理論です。環境と行動の関係は相互的であるとしています。
社会的認知理論の前提として以下の能力を挙げています。
1 シンボル操作能力(Symbolizing capability)イメージ化することができる能力です。
2 予測する能力(Forethought capability)
3 代理能力(Vicarious capability)他者を観察して学ぶ能力です。
4 自己調整能力(Self regulatory capability)
1990年 学問的功績に対して、ウィリアム・ジェームズ賞を受賞しました。
1997年 「激動社会の中の自己効力(Self-efficacy:the exercise of control)」を出版しま
した。
自己効力感についての理論は心理学にとどまらず、教育学や社会学にも大きな影響を与えました。
自己効力感(self efficacy)
自己効力感の概念はバンデューラがはじめて提唱し、社会的学習・認知理論の中核的な概念として用いられているものです。自己効力感とは「これだったらできそう」といった、ある具体的な状況において適切な行動が成し遂げられるという予期や確信を示します。バンデューラは「ある行動を遂行することができる、自分の可能性を認識していること」と定義しました。
自己効力感の高い方がその行動を行う可能性が高いといえます。
また別の概念として「結果期待(outcome expectancy)があります。これは、ある行動がどのような結果を生みだすかという予期を示します。
さらに効力予期(efficacy expectancy)というのは、ある結果を生みだすために必要な行動をどの程度うまく行う事が出来るのかとう予期を示します。
自己効力感の4つの源泉
自己効力感を生みだす元となるものは、以下の4つとされています。
1 達成体験(Performance Accomplishments)
最も重要な要因で、自分自身が何かを達成したり、成功したりした体験です。
2 代理体験(Vicarious Experience)
自分以外の他人が何かを達成したり成功したりすることを観察した体験です。
3 言語的説得(Verbal Persuasion)
自分に能力があることを言語的に説明されることや言語的な励ましです。
4 生理的情緒的高揚(Emotional Arousal)
酒などの薬物やその他の要因について気分が高揚することです。
自己効力感の3タイプ
1 自己統制的自己効力感
自己の行動を制御する基本的な自己効力感。
2 社会的自己効力感
対人関係における自己効力感
3 学業的自己効力感
学校での学習などにおける自己効力感
2004年 幅広い応用分野の功績に対して、ジェームズ・マキーン・キャッテル賞をアメリカ心
理学協会から受賞しました。
2015年 アメリカ国家科学賞を受章しました。
バンデューラの言葉
「子どもは大人から命令されたことはしない。むしろ大人の行動を真似するのである」