イワン・パブロフ⑥ パブロフの言葉

学問に身を捧げている祖国の若い人たちに、私は何を望むと思いますか。

一歩、一歩ゆっくり進む事、まず第一には―徹底。有益な研究をするために必要な子の条件について、私は興奮せずに話すことはできません。
徹底、徹底、どこまでも徹底。研究に当たっては最初から徹底という事に慣れねばなりません。
手近な一歩を我がものとせぬうちは、決して次のものに手をつけてはいけません。そして臆説を斥けねばなりません。臆説はシャボン玉のように見る目には美しいが、しょせん破裂して、混乱の他には何ものをも残さないものです。

節制と忍耐に慣れなさい。研究においては、苦しい努力をするようにしなさい。事実をまず見、次に比べ、そして集めなさい。
鳥の翼がどんなに完全であっても、空気の助けがなければ決して飛び立つことはできません。
事実というもの、それは学者にとっては空気なのです。これなくして、君たちは決して飛び立つことができません。これ無くしては、君たちの「学説」は空しい努力になってしまいます。
しかし、学び、実験し、観察しつつ、事実の皮相に止まることがないよう努力しなければなりません。事実の記録係になってはいけません。その発生の秘密を洞察するように試みなさい。事実を支配している法則を根気強く探しなさい。

第二には―謙譲です。何でも知っているなどと夢にも考えてはいけません。よしんば人が、君たちを高く高く不要化しようとも、つねに「私は何も知っていない」と自分に言い聞かせるだけの男らしい気持ちが必要です。
傲慢の虜になってはいけません。傲慢にとらわれると、賛成すべき場合でも、自分を固執するようになり、有益な助言や親切な援助をも断るようになってしまいます。また方法に客観性を失う結果にもなります。

第三には―情熱です。学問というものは人間からその全生命を要求するものです。このことを忘れてはいけ前sん。例え生命が二つあったとしても十分ではないでしょう。
学問はいっそう大きな努力と情熱を要求するこのですから。私たちの祖国は、大きな自由を学者に与えています。
そしてまた極端だと思われるくらい十分に、学問を生活に染み込ませています。我が国の若い学者の状態について、何を話すべきでしょう。
これですべてがはっきりしているではありませんか。学者には多くの便宜が与えられていますと同時に、彼らには祖国が望んでいる大きな期待を果たすという名誉ある義務があるのです。

時間厳守・毎日運動をするなどの規則正しい生活を生涯続けました。「観察そして観察」、コルトゥシにある研究所の外壁にパブロフの言葉として刻まれています。

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