TEACCHの概要
TEACCHは、自閉症の人は発達が遅れていたり劣っていたりするのではなく、健常発達の人と比べた場合に発達の様相が異なっていて不均衡である、という基本的な視点を持っています。
そのため、自閉症を治す教育や支援をするのではなく、自閉症児者が自閉症のままで自立して活動し社会との共生を目指しています。自閉症児者の劣っている部分に着目するのではなく、自閉症児者の持っている優れた部分や機能を発揮できる箇所を支援するという特徴があります。
TEACCHは1960年代の半ばに、米ノースカロライナ大学のエリック・ショプラー教授のグループによって始められ、1972年からノースカロライナ州政府の支援を受けています。米国では全50州のうち45州が何らかの形でTEACCHを導入しています。
日本では、1990年代から佐々木正美教授のグループが導入を開始し、現在ではTEACCHプログラムを学んだ研究者や支援者が全国で自閉症児者の支援を行っています。
TEACCH(ティーチ)の名前は、Treatment and Education of Autistic and related Communication Handicapped Children(自閉症および関連するコミュニケーション障害の子どものための治療と教育)の頭文字から来ています。
TEACCHプログラムが強調する原理
1 自閉症の障害の本質は中枢神経系含む器質的な問題であり、それが彼らの見る世界や状況の見通しに混乱や影響を及ぼしていること
2 療育は両親(家族)と専門家が親密な協力関係で実施すること
3 療育者はスペシャリストであることを超えてジェネラリストであること
4 療育プログラムは包括的に調整されなければならないこと
5 人生全般にわたって支援されなければならないこと
6 療育はあくまでも個別化の概念のもとに行われること
TEACCHプログラムの氷山モデル
発達障害のある人などが持っている様々な行動の困難さを理解する上で、氷山モデルの視点があります。その課題となっている行動を氷山の一角と捉えて、その氷山の一角に注目するのではなく、その水面下の要因に着目します。
例えばかんしゃく(他害、自傷)、パニック、不適切な行動、切替の問題などを氷山の一角と捉えて、水面下の要因として本人の特性や環境および状況の影響、それらの相互作用という部分に着目します。
TEACCHの学習指導方法
意味、概念、表象、認知の機能に障害がある自閉症の子どもに治療的教育を行う場合に、彼らが生活したり学習したりする場所を理解し、今彼らに何をすることを期待されているかを分かりやすくするための手法として、生活環境・学習環境やスケジュールを視覚的に示す方法(構造化)が実施されます。
参考 ザ・プロンプト
独立行政法人国立重度知的障害者総合施設のぞみ園 構造化の基礎
広島県ホームページ 様々な関連の支援について
ことばと発達の学習室