SST(ソーシャル・スキルズ・トレーニング)について2

行動リハーサル,ロールプレイのコツ

1場面づくり

行動リハーサル(ロールプレイ)は,練習課題を決めた後,グループの真ん中のスペースを使って,場面づくりをしてから行います。場面は,練習メンバーの実際の生活状況に近いほうが,練習する本人のためになり,実際の生活場面での成功率も高くなります。そこで,建物,家具の位置,人の姿勢(例:立っているか,座っているか)や方向(例:向き合っているのか,背中を向けているのか)などを,練習するメンバーから聴き出し,場面づくりをしてから行います。

2役づくり

課題を練習するメンバーは,自分の言動の「リハーサル」を行うことになります。しかし,相手役をする他のメンバーは,練習するメンバーの生活場面に登場する他人の役になって,ロールプレイをすることになります。そこで,練習するメンバーから,相手役の人の年齢層,様子,態度,口調などを聴き出すとよいです。その情報を得て,相手役になるメンバーに役づくりをしてもらい,実際の相手役に近い言動をしてもらいます。

例1:「相手役は,40代半ばのお父さん。建築関係の仕事をしていて,体が大きく,ぶっきらぼうな話し方をする。」

例2:「相手役は50代のお母さん。専業主婦で,いつも身ぎれいにしていて,早口で「やるべきこと」などを話し続ける。」

例3:「相手役は,同じ20代の元同級生。久しぶりに電話をして,昔共通だった趣味の釣りに誘いたい。相手は大学を卒業し,今はフリーターをしていると聞いている。」

このようなことを支援者が聴き出すと,相手役をするメンバーは,役づくりをしやすくなり,ロールプレイがしやすくなります。

ロールプレイの長さと直後のポイント

ロールプレイ,言葉のやりとりは長く求める必要はなく,短いくらいでよいです。発達障害の人たちは,仲間の視線がひときわ気になるものだし,「格好悪いことはしたくない」,「恥をかくのは嫌」なものです。

練習課題の設定,場面の設定,相手役の役づくりをしたら,支援者は「ハイ,どうぞ。」と合図をして,ロールプレイをしてもらいます。メインの会話,言動が終われば,「ハイ,ありがとうございました。」とすぐに止めてよいです。終わるとすぐに,支援者が「よくできましたね。」など,練習したメンバーに直接,肯定的なメッセージを伝えるとよいです。

相手役をした他のメンバーには,グループの進行に寄与し,練習したメンバーの手助けをしてくれたことをねぎらうことも忘れないようにしたいです。その上で,「今の練習で,行動リハーサルしたメンバーの言動で,どういう点が良かったですか。」と相手役にすぐに尋ねるとよいです。

参考

内閣府 ユースアドバイザー養成プログラム(改訂版)

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