SST(ソーシャル・スキルズ・トレーニング)について1

SST(ソーシャル・スキルズ・トレーニング)とは
SSTとは,エス・エス・ティ,社会生活技能訓練とも呼ばれ,認知行動療法と社会学習理論を基盤にした支援方法の一つです。
社会で,相手から自分の望むような反応(望むような回答,理解など)を得るためには,一定の認知や行動(言動)のスキルが必要になります。
たとえば,親しくなりたいと思うクラスメートへ話しかけたときに,相手も同じように自分と親しくなりたいと思い,それを表現してくれるような結果が得られる話しかけ方などは,人によっては何の苦もなくできることですが,発達障害の人たちにとっては,一定の知識を得て,訓練をして,初めてできるようになることです。
そのようなときに,必要な知識(どのような言動が望ましいかなどの情報)を与え,練習(行動リハーサルなど,ロールプレイなどを通して実際にやってみる体験)できるように支援の順序とコツを定め,構造化した支援の方法がSSTです。

SSTの流れ
① ウォーミングアップ
緊張をほぐすために,主にコミュニケーションの練習になるような内容の,楽しめるゲームなどを行います。たとえば,「アニメと言えば」という前ふりで,自分の好きなアニメについて1分以内に発表します。

② 練習する課題を決める
どのような言動ができるようになりたいか,どのような認知(考え方や感じ方)をより良いものへ変えていくことができるかを決めます。

③ 場面をつくって行動リハーサルをしてみます
練習するメンバーは行動リハーサルして練習します。そのとき,他のメンバーが練習場面に登場する相手役の役割を演じる。これをロールプレイといいます。

④ 良かったところをほめる
行動リハーサル(ロールプレイ)が終わるとすぐに支援者や他のメンバーは,練習したメンバーの「良かったところ」をほめます。このことにより,その良かった言動(言語的,非言語的コミュニケーション,ものの見方や考え方)を強化し,次回以降もそのメンバーが同じような良い言動ができるようになる確率が上がるようになります。

⑤ さらに良くする点(改善点)を考える
より良くするための改善点を,他のメンバーや支援者が考え,提案する。提案されたものの中から,練習するメンバーが取り入れたい,取り入れられそうだ,と思えるものを取り入れることにします。

⑥ もう一度練習する
取り入れる改善点を心に留めながら,再度,練習メンバーが行動リハーサルをします。

⑦ 良くなった点をほめる。

⑧ 実際の場面でやってみる「チャレンジ課題」を決める
今,練習したことをもとに,実際の生活場面で,練習メンバーも,他のメンバーも,次回のSSTの会合までに行い「チャレンジ課題」を決めます。

⑨ 実際の場面でやってみる
日常生活の中で,実際にやってみます。

⑩ 次回以降のSSTの会合で報告する
このため,2回目以降のSSTの会合では,「前回での練習内容の報告」から開始されることが多いです。

参考
内閣府 ユースアドバイザー養成プログラム(改訂版)

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