WISC-Ⅲ検査結果資料 A君の検査結果から

A君の概要

(1) 年齢    6歳3ヶ月(保育園年長)

(2) 検査理由  困っていることにどう対応したらいいか。

(3) 困っていること

①落ち着きがない。 ②大声を出す。 ③指示に応じて行動ができない。 ④整理整頓が苦手

WISC-Ⅲ知能検査の結果

3 A君の解釈手順

手順1 ~FIQ・VIQ・PIQ~[WISC-Ⅲ知能検査法(尺度換算表):P38~41]

①全検査(FIQ)[0 95 ] パーセンタイル[ 37 ] 知能水準[  平均  ]

②言語性(VIQ)[0 91 ] パーセンタイル[ 27 ] 知能水準[  平均  ]

③動作性(PIQ)[ 100 ] パーセンタイル[ 56 ] 知能水準[  平均  ] [WISC-Ⅲ知能検査法(理論編):P44]

④VIQ < PIQ 差は[ 9 ] 5%水準で差がない

特徴
言語性と動作性に明確な差は見られない。しかし、どちらかと言うと、目からの情報を理解したり、表現する方が得意で、耳からの情報を理解したり、表現することが苦手な可能性があると頭の隅に置きながら次の手順に進む。

手順2 ~群指数~[WISC-Ⅲ知能検査法(尺度換算表):P42~45]

①言語理解(VC)[ 088 ]  パーセンタイル[ 21 ] 知能水準[ 平均の下 ]

②知覚統合(PO)[ 098 ]  パーセンタイル[ 45 ] 知能水準[  平均  ]

③注意記憶(FD)[ 100 ]  パーセンタイル[ 50 ] 知能水準[  平均  ]

④処理速度(PS)[ 103 ]  パーセンタイル[ 58 ] 知能水準[  平均  ]

⑤VIQ(聴覚的な情報処理) > PIQ(視覚的な情報処理)の傾向が見られた場合

同様に VC(言語理解) > PO(知覚統合) の傾向

VIQ < PIQの傾向が見られた場合

同様に VC < PO の傾向

⑥同じIQない(言語性・動作性)である群指数間の差

⑦類推緑・操作・内的な思考に関するVCとPOの差

⑧記憶・機械的・単純作業に関するFDとPSの差

⑨入力に関するPOとFDの差

特徴
群指数間で差が見られたのはそれぞれ15%水準で、VC<FDとVC<PSである。

⑥VIQ<PIQの傾向であり、同様にVC<POの傾向である。このことから、聴覚的な情報よりも視覚的な情報の方が理解しやすいと考えられる。

⑤言語性に関係する群指数では15%水準でVC<FDで差が見られた。このことから、ことばの理解や処理は苦手で、注意の集中に関しては平均と考えられる。

動作性に関係する知覚統合≒処理速度で差は見られない。

⑦VC≒POで差はない。

⑧FD≒PSで差はない。

⑨VC≒POで差はない。

以上のことから、聴覚的な情報よりも視覚的な情報の方が理解しやすいと考えられる。

注意の集中・機械的な処理は平均と言えるがこれが本当に言えるか、下位検査の項目間のばらつきを考慮するために、次の手順に進む。

手順3 ~下位検査~

①下位検査の平均

知識  類似  算数  単語  理解  数唱

( 7 ) + ( 5 ) + (11) + (14) + ( 9 ) + ( 9 ) ÷6=8.66 [ 8.7 ] 言語性平均

完成  符号  配列  積木  組合  記号

( 8 ) + (11) + ( 6 ) + (11) + (14) + (10) ÷6= [ 10 ] 動作性平均

②下位検査の強い弱い

③際だったところ(同年齢集団との比較ではなく、A君自身の中で強い、弱いところ)

④同じ群指数を構成している下位検査の差

[WISC-Ⅲ知能検査法(理論編):P49]
特徴
③弱い(W)類似・絵画配列

強い(S)組合せ

④言語理解 類似<理解 15%水準で差

類似<単語  5%水準で差

知識<単語  5%水準で差

知覚統合 絵画完成<積木模様  15%水準で差

絵画完成<組合せ   5%水準で差

絵画配列<組合せ   5%水準で差

絵画配列<積木模様  5%水準で差

以上のことから、言語理解の中でも、下位項目間に差が見られる。一つ一つのことばの意味は理解していると考えられるが、ことばどうしの共通点を見つけたり、機能や感情、上位概念に対する理解は苦手と言える。

知覚統合の中でも、差が見られる。場に応じた行動をすることが難しかったり、見通しを持って行動することが苦手と考えられる。イメージしたり、見本を見て真似ることは得意と言える。

注意記憶・処理速度の下位項目間には差が見られないため、群指数で解釈しても妥当と言える。

⑤プロフィール分析(参考P4~5)

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