時間遅延法について

時間遅延法(time delay procedure)

時間遅延法の定義は「すでに反応型を獲得している、あるいは獲得しつつある反応が、自発的に生起しない場合に、プロンプトの提示を遅延することによって反応の自発的な生起を促す指導方法である。」とされます。

時間遅延法は、5~10秒という短い時間、働きかけを行わず、子どもがターゲット行動を自発的に行うのを待ちます。待っている時間内に自発的な行動ができなかった場合にのみ、プロンプトを与えます。

ポジティブ・ルールはルールを明確にしてから行動してもらいます。例えば「早く宿題を済ませたら週末に遊園地へ行こう」というように、強化刺激が得られる条件を明確に示したポジティブなルールによって、見通しを与えます。

強化刺激の与え方

強化刺激の効果は、次の5つを活用することで高まります。

①即時性  (行動の直後に与える)

②多様性(できるだけ多くの種類の強化刺激を用いる)

③明示性(強化刺激そのものをはっきりとした明瞭な形で示す)

④具体性(良い行動の内容を具体亭に褒める)

⑤関連性(適切な行動と直接関連した強化刺激を用いる)

内在的強化刺激への移行

はじめは、子どもをたっぷりと褒めいろいろな種類の強化刺激を十分に与えます。
その後徐々に、強化刺激を減らしていき、強化刺激がなくても行動が維持されるように持っていきます。
行動すること自体で強化刺激が得られるようにするためです。
身体が軽くなる等の内部感覚、行動することで徐々に目標に近づいていくこと、ことばで自分を褒めることなどが、内在的強化刺激として働くようにしていき、自立を促していきます。

時間遅延法の種類

時間遅延法には一定時間遅延法と漸進的時間遅延法があります。

1 一定時間遅延法(constant time delay)

一定時間遅延法では最初のうちは指示と同時にプロンプトを使用して適切な行動を引き出していきます。その後は指示を出した一定時間後(3秒程度)にプロンプトを使用するという方法です。

具体的には以下の通りです。

・初期の一定時間遅延法

指導者が指示と
プロンプトを
同時に使用する。
⇒ 対象者が適切に
行動する。
⇒ 指導者が対象者
の行動を好子によ
る強化を行う。

・初期以降の一定時間遅延法

指導者が指示を出す。

⇒ 即座に対象者が
適切に行動する。
⇒ 指導者が対象者
の行動を好子によ
る強化を行う。
⇒ 対象者が適切に
行動せず、3秒が
過ぎる。
⇒ 指導者がプロン
プトを使用する。
⇒ 対象者が適切に行
動し、指導者が好子
による強化を行う。

このように一定時間の間に適切行動が出現しなければ、指導者がプロンプトを使用して適切な行動を促していきます。

2 漸進的時間遅延法(progressive time delay)

漸進的時間遅延法では、最初のうちはすぐにプロンプトを出して適切な行動を出現させるのは、一定時間遅延法と同様ですが、プロンプトを出すまでの時間を段々と伸ばしていきます。

・初期の漸進的時間遅延法

指導者が指示と
プロンプトを
同時に使用する。
⇒ 対象者が適切に
行動する。
⇒ 指導者が対象者
の行動を好子によ
る強化を行う。

・初期以降の漸進的時間遅延法

指導者が指示を出す。

⇒ 即座に対象者が
適切に行動する。
⇒ 指導者が対象者の行動を好子による強化を行う。
⇒ 対象者が適切に
行動せず、一定時
間が過ぎる。
⇒ 指導者がプロンプトを使用する。

(プロンプトを出すまでの時間を徐々に伸ばしていく)

⇒ 対象者が適切に行動し、指導者が好子による強化を行う。

これにより、対象者が一人で適切な行動を自発できる可能性が高くなります

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