星野仁彦先生は、発達障害者のための医療、社会福祉の向上とともに、一般企業でのサポート体制の構築が望まれるとして、職場の上司や同僚に理解と協力を得るためのポイントに以下のことを挙げています。
① 専門医の診察や検査を受けて発達障害の診断を受ける。
② 信頼できる上司や同僚の一人にでも、自分が発達障害であることをカミングアウトして理
解と協力を得る。
③ 能力のアンバランスがあるため、上司・同僚との役割分担や、必要なら配置転換を考慮し
てもらう。
④ 仕事の先延ばし傾向があるため、期限が守れない場合はレポート、書類の提出期日前に何
度か催促してもらう。その日、その週、その対の予定やスケジュールを机・壁などの目立
つところに貼っておく(視覚的構造化)
⑤ ストレス体性が低く、パニック状態になりやすいので、一人になって冷静に考えることが
できるクールダウンタイムとスペースがあるとよい。また、パニックになりそうなときの
ために、発達障害を理解してくれる人とホットラインをつくっておく。特に聴覚過敏のた
め、大きな音や想像しい環境には弱いことを理解してもらう。
⑥ 不注意や注意散漫傾向がある場合、集中力が必要とされる仕事をするときは、聴覚・視覚
刺激が少ない静かな個室を依頼する(耳栓やヘッドフォンなどの使用もお勧め)
⑦ 多動で落ち着きがない場合、身体の移動の多い仕事や変化の多い職場が望まれる。長時間
のデスクワークでは、ときに短い休憩を取って職場を離れることを認めてもらう。
⑧ 職場の上司は褒め上手で、大声での叱責や避難の少ない人が好ましい(ピグマリオン効
果)
⑨ 人間関係がうまくいかない場合、チームプレイより個人プレイで、自由にマイペースでで
きる仕事が望ましい。
⑩ 記憶障害があり忘れっぽい場合、2つ以上の仕事を同時並行で行うのは苦手である。ま
た、電話などでの長い話を聞き取るのが苦手なため、先方には記録に残るメールやFAXを
お願いする。
⑪ 女性の発達障害者の場合、PMDD(月経前不機嫌性障害)になって、様々な心身症状を示
しやすいことを理解してもらう。
大人の発達障害者の治療について
大人の発達障害者の治療については、まず、発達障害者本人とそのパートナー、家族への告知と発達障害に関する心理教育による気づきと洞察の獲得が最も重要です。これがないと治療ははじまりません。
治療の種類
1 発達障害者とそのパートナー、家族への告知と心理教育
2 パートナー、家族によるサポート体制の確立
3 心理療法・カウンセリング
4 日常生活、ライフスキルの指導
5 認知行動療法
6 自助グループへの参加(NPO法人えじそんくらぶなど)
7 小学生から大学生までの特別支援教育
8 就労支援とキャリアガイダンス
9 薬物療法(メチルフェニデート、アトモキセチンなど)
参考
内閣府 ひきこもり支援者読本
東京人権啓発企業連絡会