算数・数学の学習障害1 算数障害とは

算数の目的

学習指導要領では小学校第1学年の算数の目標として「算数的活動を通して、数量や図形についての基礎的・基本的な知識及び技能を身につけ、日常の事象について見通しをもち筋道を立てて考え、表現する能力を育てるとともに、算数的活動の楽しさや数理的な処理のよさに気付き、進んで生活や学習に活用とする態度を育てる。」としています。

算数障害とは

知能の遅れがないにもかかわらず、算数や数学に学習上の困難がある場合、「算数障害」などとと呼ばれ、WHOの診断基準では「計算障害」「発達性計算障害」と呼びます。

DSM-Ⅴ(Diagnostic and Statistical Manual of Mental Disordersの略で精神障害の診断と統計マニュアル第5版と訳されるアメリカ精神医学会が2013年に出版した書籍)による定義では、①数感覚:数量概念、②数的事実の記憶、③正確で流暢な計算、④正確な数学的推論での障害を伴うものとされます。

日本LD学会研究委員会による計算や推論の困難に関する気づきの項目(2014)

領域No項目ないときに

ある

よく

ある

数処理1数字を見て、正しく数詞をいうことができない(読み)。
2数詞を聞いて、正しく数字を書くことができない(書き)。
3具体物を見てそれを操作(計数するなど)して、その数を数字や数詞として表すことができない。
数概念

(序数性)

4小さい方から「1,2,3、…」と数詞を連続して正しく言うことができない(目安として120くらいまで)。
5自分で並んでいる列の何番目か言い当てることができない。
数概念

(基数性)

あるいは

数量感覚

6四捨五入が理解できない。
7数直線が理解できない。
8多数桁の割り算において、答えとなる概数が立てられない。
計算

(暗算)

9簡単な足し算・引き算の暗算に時間がかかる。
10九九の範囲の掛け算・割り算の暗算に時間がかかる。
計算

(筆算)

11多数桁の数の足し算・引き算において、繰り上がり・繰り下がりを間違える。
12多数桁の掛け算において、かけたり・足したりの途中計算を混乱したり、適切な位の場所に答えを書くところで間違える。
13多数桁の割り算において、答えの書き方や適切な位の場所に答えを書くところで間違える。。
文章題14文章題の内容を視覚的なイメージをつなげられず、絵や図にすることができない。
15答えを導き出すための数式が立てられない。

このチェックリストに多く当てはまる問題を抱える子どもたちには、必ず個別の知能検査を行うなどして、全体的な知的能力水準がどのくらいか、また知的能力を構成する下位の認知能力の強い・弱いの能力を同定しておくことが重要です。

参考

全国地域生活支援機構ブログ ディスカリキュア(算数障害)とは?

文部科学省

京都女子大学発達教育学部紀要 数表記・数詞・具体物の三項関係に関する論考(2016)

指折り克服

子供の発達を支える~発達.net~

パチパチ通信

国立特別支援教育総合研究所 発達障害教育推進センター

公益社団法人日本心理学会 特集:数から算数へ 算数障害とはいったい?

タマノモリ

天白子ネット 子育てほっと情報 子どもの「数」理解

水道方式で学ぶ算数・数学教室「数学で育ちあう会(数育会)」 たしざん・ひきざんの教え方

小学校の先生のお仕事 算数の文章問題が苦手な子への2つの対策

地頭を鍛える学習教室 文章問題が苦手

中学受験ナビ 算数の文章題が苦手な子に教えたい4つのコツ

鹿児島県立大島養護学校 テーマ研究 平成28年3月

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