発達障害の原因とメカニズム、治療2 自閉症スペクトラム障害・ASD(原因・メカニズム編2)

常同行動の原因

自閉症スペクトラム障害(ASD)などに見られる病的な繰り返し行動を常同行動といいます。
2015年、東京医科歯科大学難治疾患研究所・文史神経科学分野の研究グループがマウスを用いた実験によって、常同行動を脳のグリア細胞の異常が引き起こす仕組みを解明し、メマンチンという治療薬によって改善がされることが分かりました。
常同行動は脳の興奮により引き起こされることが分かっています。
グルタミン酸は脳を興奮状態にすることが知られているため、常同行動の発現に関与していると推定されています。
グルタミン酸の代謝を制御するグリア細胞が、グルタミン酸の過剰な状態や常同行動に関与していることが研究により判明しました。
グルタミン酸の過剰状態を再現するためにグリア細胞に発現するグルタミン酸輸送体GLT1に着目し、その働きを欠損させるとマウスは顔や首を中心に、激しい脱毛や皮膚の損傷が見られました。
GLT1はグルタミン酸をグリア細胞に取り込んで、グリア細胞外のグルタミン酸濃度を低く保つ役割があります。
そこでグルタミン酸受容体を阻害して、神経活動を抑制する作用があるメマンチンをこのマウスに投与すると、常同行動は即効性かつ強力に作用し抑制されました。
特にマウスの脳の興奮状態は運動の制御によって重要な大脳皮質と線条体の間のグルタミン酸による情報伝達が過剰に活性化されていることも明らかになりました。

線条体とは

線条体は大脳基底核を構成する主要な部分です。
大脳基底核は大脳皮質と視床・脳幹を結び付けている神経核の集まりです。
線条体は被殻と尾状核から構成されており、比較は運動系機能、尾状核は精神系機能に関わっています。

父親と母親によるASDなどのリスク

ASDでも両親は持っておらず、子に新たに生じた変異による発症例が多く見られています。
そして、このような変異の15%にDenovo点変異が見られ、これは父親の年齢が高いほど増加することが分かっています。
2006年に行われたイスラエルでの研究では13万2千人の家族に関するデータを収集し、異なる年齢の男性が自閉症児をどのくらいの頻度で持つかを計算しました。
その結果、30代の男性では発症率が30歳未満の1.6倍で、40歳の男性ではリスクは6倍に増加しました。
それ以来、カリフォルニア、デンマーク、スウェーデンで生まれた子どものデータと570万人の子ども達の国際データを分析して、ほとんど全てが、高齢の父親と子どもの間で自閉症の有病率が増加していました。
2014年にスウェーデンで行われた大規模調査では45歳以上の父親に生まれた子どもの自閉症のリスクは、20代前半の男性の父親より約75%高いことが分かっています。
また、母親の肥満や糖尿病との関係も指摘されています。南カリフォルニアでの調査では、妊娠糖尿病が26週までに診断された場合、リスクが42%増加するという結果があります。マサチューセッツ州・ボストンでの調査では糖尿病の肥満の母親は、自閉症の子どもを持つ可能性が3~4倍高いという結果です。
さらにオハイオ州シンシナシティでの調査では肥満または糖尿病の母親では自閉症の子どもを持つ可能性が1.5倍高く、糖尿病と肥満の両方を持っている場合リスクは2倍との結果が出ています。
その他の研究でも糖尿病が大幅に赤ちゃんの自閉症リスクを増加させることが報告されています。

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