注意欠陥/多動性障害・ADHDの疫学調査
ADHDの発症率は3~7%(30人クラスに1~2人)といわれており、決して珍しくありません。
ADHDは世界的には子どもの5%、成人の2.5%に見られるといわれます。
アメリカでは2003年から2011年の8年間で、子どものADHD患者数が43%増加し、子ども全体の11%にあたる640万人がADHDの診断を受けています。
成人全体では1000万人のADHD患者がいるといわれます。
2012年のアメリカ・ニューヨークタイムズの報道ではアメリカの10代少年のほぼ5人に1人がADHDと診断され、この10年で激増しています。
アメリカで行われた調査によると、両親のどちらかにADHDがあると、その子どもにADHDが現れる確率は最大50%だといわれています。
ADHDは早い場合、4歳頃に徴候が現れ、7歳までには症状が顕著に見られるようになります。男児に発症する確率は女児の2~9倍です。
ADHDであることが診断される年齢は男児で8歳前後、女児で12歳前後と差があります。
環境要因
アメリカ精神医学会では、ADHDの原因を特定してないことを前提として、遺伝的な要因のほかに「早産。脳障害及び妊娠中の母親の喫煙、アルコールの摂取また極度のストレス」などがADHDのリスクを高める可能性があることとして例示しています。また、胎児期の殺虫剤や除草剤に含まれる有機リン系化合物の影響、生後に古い住宅のペンキに含まれる鉛などに曝露すると事による影響も報告されています。
さらに水銀がADHDのリスクを高める可能性があることも報告され始めています。
2007年にイギリス政府は、食品添加物で合成保存料として用いられる安息香酸ナトリウムと数種類の合成着色料が子どもにADHDを引き起こすという研究を受けて、これらを含むことが多いジュースやお菓子に注意を促しています。
また2008年には英国食品基準庁は合成着色料のタール色素についてメーカーに自主規制を勧告しました。
ADHDの薬の服用は脳の大きさに関連性は見られないため対処療法に過ぎないことも分かっています。
アメリカでは、ADHD患者の少なくとも15%は投薬で症状が改善されず、不眠や不安神経症などで苦しむ人も多くいます。
ADHDとコーヒー
コーヒーがADHDを改善するといわれます。これはカフェインが中枢神経を刺激して覚せい作用を促すからです。ルイス大学レオン博士の行った論文の分析によると、ADHDの子どもにカフェインを摂取させたところ、治療薬よりは効力は低いものの、多動が減り生活が改善したという結果が出ています。