集団随伴性の留意点
① グループ内の各メンバーの能力を分析しておくことです。それぞれの能力が異なる場合、
個別的な配慮を持たせたあ相互依存型集団随伴性を使用することが良いと言われます。
個別的な目標を設定して、全メンバーが個々に設定されている目標を達成できたときに強
化子を与えるというものです。
この方法では一人ひとりに対する個別化を図りながら集団随伴性を維持することができま
す。
② どのような達成基準でグループに強化子が与えられるか、その仕組みをグループ全員が理
解していることを確認することです。
③ 介入の間、グループ内の人間関係を観察して注意を払う必要があります。仲間同士の援助
行動に対して、援助された子どもが拒否や無反応であると、自発的に援助することがなく
なり、仲間同士のコミュニケーションが促進されなくなってしまいます。
④ グループ全員の達成成績をチェックすることです。特に相互依存型で平均点などによって
達成基準を設けた場合、平均点が出されても個人の得点が不明であれば、低い得点の個人
がグループ全体の高い平均点に隠れてしまいます。
低い得点者に対して別の介入をする機会を設けるためにも、個人の得点状況は把握する必
要があります。
発達障害児に行う相互依存型集団随伴性の課題
① 相互依存の性質が理解できていない。
② 目標の共有関係が理解できていないので、目標の達成が集団の仲間と共に得たという体験
が共有できない。
③ 仲間が十分活躍できなくても、本人が多く活躍すれば集団の目標達成につながっているこ
とが理解できない。
これらの結果、子どもが個人の結果によるものと誤解し、集団随伴性が機能していなかっ
たり、自発的に援助するような行動が見られず、集団随伴性の作用が低下すると考えられ
ます。
これらを解決するには開始前に短期援助スキル訓練を行い、実施の最中にも訓練の復習を
することで、正しい方法で援助の行動を促し、不適切な援助行動を抑制することができま
す。
また、同じ援助行動を何度も行えるような設定を作っておくことにより、自発的に援助行
動が出現しやすく、学習する機会が増えていきます。
それと教師がグループ内の個人の行動を把握し、その正誤を検討して次につなげると共
に、どれだけでグループが目標に達成できるかを伝えることで、子どもの数的処理能力を
助け、その能力を発揮することが可能になります。
さらに集団随伴性を実施する際の集団全体のサイズや目標の高さは十分配慮する必要があ
ります。
指導者のための集団随伴性実施チェックリスト
項目 | ✔欄 | |
セッティング要因 | 01 対象児の数的処理能力のアセスメントを行った。 | |
02 対象児の援助スキルのアセスメントを行った。 | ||
03 対象児に援助スキルのレパートリーがない場合、指導前の短期援助スキル訓練を 行った。 | ||
04 指導中に援助スキルのおさらいをすることを指導手続きに入れた。 | ||
05 指導場面は、援助行動の想定場面が頻出するようになっている。 | ||
先行 | 06 仲間の行動の達成状況をフィードバックを指導手続きに入っている。 | |
07 仲間の行動の達成状況をフィードバックするために、モニタリングをしている。 | ||
08 強化されやすく、援助が必要な対象児は限定している。 | ||
09 援助の想定場面を構造化している。 | ||
10 行動の評価表を対象集団に合わせた形に簡素化されている。 | ||
結果 | 11 集団随伴性の理解に関するアセスメントを行っている。 | |
12 対象集団に合った目標になっている。 | ||
13 対象集団に目標が共有されていない場合、場面内で共有できる強化子が用意され ている。 | ||
14 指導中、定期的に集団随伴性のアセスメントを実施することが行動計画に含まれ ている。 |