行動の罠と不適応行動への対応

行動の罠(Behavioral trap)

褒めたり注目を与えなかったりすることで適切な行動を増やしていく時には、行動の罠にはめることが大切であると言われます。

これは、最初は好子を提示して増やした適切な行動に対して、徐々に好子を減らしていき最終的には好子がなくても目標の行動が自然に生じるように仕組んで行くことを言います。最初はご褒美があるから嫌々やっていた事でも、続けているうちに次第にやる事自体が楽しくなったり違和感がなくなったりすることに合わせて、計画的に好子を減らしていく所にその特徴があります。プロセスを正の罠にはめるかの如く、本人には気づかれないように徐々に、かつ巧妙に減らしていくことから「行動の罠」という言います。

別な言い方をすれば、「自動的随伴性が存在する行動レパートリーを多動的随伴性によって形成すれば、訓練後は自動的随伴性によって維持できる。」という事です。

支援の際に考えること

・支援の手立てに用いる好子

・好子を徐々に減らしていくスケジュール → 行動の罠にはめる

この考え方は用いた手立てにも活用することができます。

不適応行動への対応

不適応行動の原因として考えられるものに環境的要因、医学的要因、自己刺激行動、注意喚起、逃避・回避などがあります。

不適応行動の原因を見極める方法としてABC機能分析モデルがあります。原因が特定された後は、いくつかの手法の中から適切な手法を用いて不適応行動の対処を行います。手法としては行動遮断法、消去、他行動の分化強化、消極的罰(タイムアウトなど)が含まれます。

望ましくない行動を減らす方法

望ましくない行動を減らす方法には、大きく分けると3つの段階があります。

1 機能的アセスメントによって、ターゲットになっている望ましくない行動がどのような教科を受けているかを分析します。その行動を行っている人が「乱暴な人」だからとか「思いやりのない人」だからではなく、その行動自体に焦点を絞ります。行動が生じているとすれば、そこには何らかの強化がはたらいていますから、その強化源を明らかにします。

2 次に機能的アセスメントに基づいて環境を改善する計画を立てます。例えば、その行動で得ている強化を、より望ましい行動によって得られるようにするのはその一つの方法です。

3 最後にそうした望ましい行動を形成することで、望ましくない行動を相対的に抑制していきます。つまり、望ましくない行動を止めさせようとするのではなく、対立行動分化強化や代替行動分化強化などの手続きによって望ましい行動を形成するわけです。体罰を使用する人は、そのようなより望ましい行動を形成する視点や行動のレパートリーを持っていないのかもしれません。

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