集団随伴性について1 集団随伴性とは

集団随伴性
(group countingency / group-oriented contingency)

集団随伴性は学級経営や集団行動のマネジメントにおいて、広く研究され活用されてきました。
集団随伴性とは、ある特定の個人や集団全員の達成基準に応じて、集団への強化が随伴されることを言います。
マクラフリン(McLaughlin)の研究に、教師がスペリング・テストにおいては班員の得点によって班に得点を与え、得点に応じて、褒美として自由時間や休み時間などの機会を班員に与えるというものがあります。
チーム対抗のゲームや競技でも、強化子となる諸売りがチーム全体の遂行に依存しているという点で、集団随伴性を内包しているといえます。

集団随伴性の分類

集団随伴性は集団場面での強化随伴性は強化子の提示法法によって以下の3つの種類に分けられます。

① 非依存型

グループ全員に対して同じ強化随伴性操作が適用されるものの、それは各個人の成績に基づいて決定され、他のメンバーの成績は自分が強化を受けることに影響しません。

例 試験が平均点以上の点数を獲得できた生徒だけに、5分間の休み時間を与えられる。

② 相互依存型集団随伴性
(Interdependent group-oriented contingency)

目標や褒美、教材、役割などについて互いに協力を必要とするような関係で、いわゆる「運命共同体」の関係を作ります。

グループ全員に対して同じ強化随伴性操作が適用されるので、グループ全員が共有した目標に向かい一緒に働きます。
グループ全体の達成レベルによって全員の強化が決定されます。各人の達成と強化は他のグループ構成員の達成に相互に依存しています。
そのため、それぞれがグループの成功にとって欠くことのできない重要な役割を果たしてグループを手助けする責任を持ちます。
グループの達成レベルの評価指標として、グループ全員の達成した成績の合計や平均値が基準レベルに到達することが挙げられます。
さらに、グループ内のある一つの達成成績、例えばグループ内のランダムに選ばれた個人の成績や、グループの最高個人得点または最低個人得点もグループの達成レベルの評価しようになります。
この場合、取り組みが終わるまでは、グループの構成員の誰が強化基準の対象になるのか分からないので、取組中は相互依存的な性質が保たれるということになります。

例 試験を受けたクラスの平均点が60点以上であった時、クラスの生徒全員に5分間の休憩が
与えられる。

③ 依存型

取り組みの最初に強化基準の対象者が特定されている場合になります。

例 A君が、試験の得点で60点以上獲得すれば、クラスの生徒全員に5分間の休憩が与えられ
る。

教師などの集団随伴性を行う側にとっては、非依存型は受け入れにくいという研究結果があります。
また、個人随伴性に比べれば集団随伴性の方が効果的であったという報告もあります。
非依存型はそもそもグループ全員に強化されないので、集団随伴性に分類しない研究者も多くいるようです。
やはり、集団随伴性の効果を高めるには1つの目標を共有することが有効といえます。
その結果、グループ内のコミュニケーションが増加して、仲間を援助する行動が誘発されていきます。
これらは発達障がいのグループであっても同様の結果であったという研究があります。
逆に、援助と言えない否定的な行動が現れるケースもあり、例えば言葉による脅かしや叱責、仲間からの圧力などがみられたりします。
そのため教師が介入し援助的な行動へと誘導し、徐々に介入を減らしていくようなプロンプト・フェイディング法は有効な手段と考えられます。

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