般化と般化勾配について

般化(generalization)・
刺激般化(stimulus generalization)とは

条件刺激と詳細は異なりますが、多様な刺激に対して同様の条件反応が生じることで、ある刺激に対して特定の反応を学習すると、類似する刺激に対しても同じ反応を示すことがあります。これを刺激般化、あるいは単に般化と呼びます。「ある条件の下でオペラント行動を強化すると、他の刺激もその行動を統制するようになること」と定義されます。

電車の中などで携帯電話の着信音が鳴った時に、自分の電話でないことを分かっていながら、携帯電話を取ろうとしたとします。着信という先行刺激は電話を取るという行動の弁別刺激です。

弁別刺激による刺激統制がまだ不十分な段階では、類似した弁別刺激に対しても行動が出現します。このように類似した刺激に対して同じ行動が出現してくることを「般化」といいます。玄関のインターホンの音と電話の音を間違えて、電話を取ろうとするのも般化の例です。

般化勾配(generalization gradient:GG)

特定の刺激に対して十分に反応するようになった後で、その刺激の特定の次元を変化させると反応の比率も変化します。刺激の次元とは、光であれば波長や明暗など、音であれば音の高さや大きさなどです。この時、横軸に刺激の次元、縦軸に反応数を取ったグラフを描くと、逆U字形あるいは釣鐘上の図形が得られます。これを「般化勾配」と呼び、通常は最初に強化された刺激の次元でもっとも反応数が多くなり、次元の変化が大きくなるにつれ反応数が少なくなります。

般化勾配は弁別訓練後にも見られ、これらは特に「弁別後般化勾配」と呼ばれます。弁別後般化勾配は、単一刺激での訓練によって得られた般化勾配に比べて傾斜が急になり、頂点はより高い値を示します。

般化勾配の形成後でも弁別訓練を行うと、その位置や形状は変化します。

般化の研究例

ドリンジャー(Dollinger.S.J)、オドネル(O’Donnell.j.p)、スタレー(Staley.A.A)達の報告よると、落雷被災を経験した少年たちには恐怖の般化が見られました。サッカーの試合中に雷雨で落雷被災を経験し、チームの一人が死亡するという恐怖を経験した少年たちは、そうした経験がない少年たちに比べて、1~2ヵ月も雷雨に対する恐怖が強かった。しかも、少年たちの恐怖は雷雨そのものだけでなく、事故で起こった友人の死にまつわる「死」「幽霊」、事故時の救急車に関係する「サイレン」、その後に事故に関連した恐怖の夢を見るため「眠ること」へと般化を示していました。般化には、落雷に関連が深いものほど著しいという「般化勾配」が見られました。