算数障害 筆算と文章題の困難
③正確で流暢な計算
筆算の能力のことです。
筆算をするときには、一般にはまず計算結果をおおまかに答えを見積もって、最も簡単に求める計算方法を考え、実際に計算し、答えを出すという順に行います。
足し算の場合、例えば1548+246を計算するとしたら、1800に近いけれどもやや小さいだろうと見積もります。
なぜなら1550+250=1800で、足し算する2つの数字はどちらも少し小さいからです。
1548は1550よりも2小さく、246は250よりも4小さいので、(1550-2)+(250-4)と表すことが出来ます。そうすれば、1550-2+250-4=1800-6
=1794 となります。
掛け算の場合、例えば106×5を計算するとしたら、100×5=500だから500よりも大きくなると見積もります。106は100+6とわけられるので、100×5と6×5を足せばよいと計算方法を考えます。
つまり 106×5=(100+6)×5
=100×5+6×5
=500+30
=530 と計算して答えを出します。
また、繰り上がりや繰り下がりの計算が苦手な子どもが筆算をする場合のポイントを以下に示します。
・一度にたくさんの計算問題をさせないようにする。
→ 計算問題を少なくすることで、計算への意欲を失わせないような配慮は大切なことで
す。
・方眼紙などのマス目のある用紙を使用して、問題を写したり、計算したりするときの位取りを分かりやすくする。
→ 視覚認知の弱い子どもには、筆算の桁をそろえることが難しく、数字をどこに書いた
ら良いのかがわからないことがあります。マス目のある用紙を使うことで、位取りや
数字の位置が確定しやすくなります。
・繰り上がった数や繰り下がった数を書く場所を決めておく。
→ 繰り上がった数、繰り下がった数を書く場所をはっきりさせておくことは、繰り上が
りや繰り下がりの数を覚えていることが苦手な子どもには有効です。
例 78+63の筆算
書き方
078
+63
まず、一の位から計算します
078
+63
1
十の位に1繰り上がったので、1を十の位に小さく記入します。
0001
078
+63
1
十の位を計算します。このとき繰り上がった1も合わせて足し算します。
0001
078
+63
141
例 102-35の筆算
書き方
0102
- 35
一の位を計算しますが、繰り下がりが必要なので十の位から10をもらいます。
00 9 10
0102 一の位では12-5の計算をします。
- 35
7
9 10
0102 十の位では9-3の計算をします。
- 35
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④正確な数学的推論
文章題を解くような場合、文章を読んだり、図や表、グラフなどを見て、問われている内容を理解して、それを処理できる算数の世界に置き換え、計算処理をする過程によって行われます。
文章題を解くことが困難な子どもの場合、以下の理由が考えられます。
・計算の意味が理解できていない。
→ 足し算や引き算の場合、合わせた数を計算するのが足し算で、違いや残った数を計算す
るのが引き算です。つまり、「あわせて」や「ぜんぶで」と聞かれれば足し算、「ちが
いは」や「のこりは」と聞かれれば引き算をすると考えます。計算の意味を理解して、
計算に習熟することが必要になります。
・文章の理解ができない。
→ 男の子と女の子、あるいはりんごとみかんなどが混じっていると、別なものは足せない
と考える子もいます。子どもは全員で何人か、くだものは全部で何個かを聞くことで計
算が可能になることを理解してもらう必要があります。
→ 場面をイメージして理解することができない子どもの場合、絵にして文字から絵のイ
メージで理解できるようにし、頭の中でもできるように練習します。
→ 文章題を読む段階で、読み間違いや読み飛ばしをしてしまう子どもの場合、確実に文章
を読む方法として音読があります。ふだんは声に出して読む習慣をつけて、音読ができ
ない時には心の中で声を出して読むようにするがよいでしょう。
参考
全国地域生活支援機構ブログ ディスカリキュア(算数障害)とは?
文部科学省
京都女子大学発達教育学部紀要 数表記・数詞・具体物の三項関係に関する論考(2016)
指折り克服
子供の発達を支える~発達.net~
パチパチ通信
国立特別支援教育総合研究所 発達障害教育推進センター
公益社団法人日本心理学会 特集:数から算数へ 算数障害とはいったい?
タマノモリ
天白子ネット 子育てほっと情報 子どもの「数」理解
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中学受験ナビ 算数の文章題が苦手な子に教えたい4つのコツ
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