2つのミリューセラピー1 本来のミリューセラピー

ミリューセラピー・環境調整療法(Milieu Therapy)

もともとミリューセラピーは、精神病患者のための新しい病院治療のために1900年代初頭にドイツで作られました。

ミリューセラピーは、環境の諸条件を改善し、あるいは環境からの働きかけを行うという事により精神状態の改善を図る療法です。日常的な交流や活動が、社会スキルを身につけ自身を高めるために設計され調整されて治療を行います。

この治療法は精神病院や一般病院の精神病棟、集団生活環境などで使用されてきました。また家庭内でも精神科治療を受けている人々を支援するようになってきています。

ミリューセラピーでは治療コミュニティをつくり、9~18か月間、約30人のグループで生活します。患者は集団の中で、自分自身とグループ内の他の人々に対して責任を取るように奨励されます。治療コミュニティには、患者の他に治療施設の医療スタッフ、回復のプロセスを経験した人たちが含まれます。このコミュニティは、安全で協力的な環境を作りだし、人を恐れたり邪魔や気を散らすことなく、回復に向けて取り組むことができる場所となります。

ミリューセラピーは、患者の積極的な参加が重要になります。段階的に回復に向かっている患者に対して、スタッフはそれぞれに特定の役割を与えます。その役割は徐々に増えていきます。責任の役割を引き受けて、指示に従い事になります。

お互いが規則を守るようにして、年長の患者は新しい患者のために適切な行動を模倣されることが期待されます。ある患者が規則に違反した場合、違反を認識していたが介入しなかった他の患者も、関与の程度に基づいて罰を受けたりします。

ミリューセラピーは、精神病患者、人格障害や自己破壊的行動などの問題行動、薬物乱用中毒障害、被虐待児などを治療する上で効果があると考えられています。

心掛けるべきこと

1 平等であること

一人一人が自分自身で決定を下し、グループの決定について意見を聞くことができます。

2 自治の奨励

自分自身のために考えて行い、自律することが奨励されます。

3 誰もが尊重され尊敬されること

ミリューセラピーでは、スタッフが常に患者を尊重し、患者が互いを尊重して治療する
ことが奨励されます。
患者が不適切に行動している時であっても、スタッフは彼らを尊重して患者のニーズを
考慮に入れます。

4 信頼関係の構築

ミリューセラピーでは、患者とスタッフは適切な行動とオープンなコミュニケーションを
通して互いに信頼関係を築いていきます。

ミリューセラピーがうまくいくかどうかは、独自の治療計画にかかっています。一人一人の患者の治療を自分自身で担当し、患者自身が慣れ親しんだ手順を踏んで進められていきます。