ルール支配行動2 守りやすいルールと守りにくいルール

守りやすいルールと守りにくいルール

ルールが守りにくい主な理由

1 自然随伴性のもとで強化されているような行動を禁止するルールを作っても、元の強化随
伴性の力が上回っていれば、ルールを守って出もその行動を続けようとする。

例1 大学構内を敷地内全面禁煙にしても、人目のつかない場所で隠れ喫煙をする行為が
なくなりにくい。

強度のニコチン依存者は、一定時間タバコを吸わないと禁断症状が現れ(嫌子出現)、そ
れから逃れるためにタバコを吸わざるを得ない状況に追い込まれます。
隠れ喫煙行為は嫌子消失の随伴性によって強化されているため、いくら禁煙を呼びかけ
ても、従わない人が出てきます。

例2 交通違反

制限速度を上回るスピードで走る行為は、目的地に早く着くという結果によって強化さ
れています。
取り締まりが行われていないと思われる路上では、ルールを守らずにスピード違反をし
てしまう行為がどうしても起こってしまいます。

2 一大決心をして将来に大きな目標を立てても(ルール)、それに近づくための日々の積み重
ねの努力が別に強化されていなければ、すぐ挫折してしまう。

例1 「甘いものを食べてばかりいると太ってしまう」

ケーキを1個食べてたとしてもそれによる体重増加は微々たるもの、つまり「結果が小
さすぎたり、累積的にしか意味がない」ためと言えます。

例2 「毎日15分ずつ英会話の勉強をする。」

1日の勉強では「英会話の上達」という結果が小さすぎるため中々持続しません。

長期的、累積的には大きな結果になり得たとしても、1回の行動に随伴する結果があまりに小さすぎるという場合は、その行動は強化・弱化されません。
それゆえ、人為的に別の結果を付加することで「塵も積もれば山となる」型の結果を補完する必要が出てきます。

ダイエットの例でいえば、「甘いものを食べた時は、その日の夕食は半分の量にする」という弱化の自己ルールを定めたり、英会話の練習やドリルの遂行では、毎日実行したときにシールを貼って、シール10枚貯まったら自分で自分にご褒美を与えるといった付加的な強化が考えられます。

従いやすいルールと従いにくいルールの特徴

・1回の行動に随伴する結果が、適切な大きさで確実であれば、結果の遅れに関係なく、
それをタクトした命令は従いやすい。

・1回の行動に随伴する結果が小さすぎたり(累積的にしか意味がない)、確率が低すぎると、
結果の遅れに関係なく、それをタクトしたルールは従いにくい。

ルールを守る人と守らない人

ルールを良く守る人の場合、「ルールと一致した結果」が好子、または「ルールの不一致」が嫌子となっている可能性があります。

一般的に、共同体の中では「言行一致」は強化され、「言行不一致」は弱化されます。
その方が社会にとって都合が良いからです。幼少時からルールと一致した行動をとったときに賞賛され、役に立つ人物として評価され重んじられます。
半面、行動がルールに一致しない場合は叱責されたり、役に立たない人物として無視されたりします。
こうした経験を重ねることで「一致」すること自体は般性習得性好子に、また「不一致」自体が般性習得性嫌子になっていく可能性があります。

そうした経験が少ない人にとっては「一致」「不一致」は単なる中性的なタクトにすぎません。これがルールを守らない人になります。

ルールを守らない人としてはこの他に、

・守らないことで徳をした(強化された)人。犯罪者一般

・注目されることが好子になっている場合、守らないことで他者から注目されることは
強化になる。

といったケースも考えられます。