モデリング・観察学習と模倣学習、ランダムローテーションについて

モデリング(modelling)・観察学習(observational learning)

他者を見本(モデル)に、そのものの動作や行動を見て、同じような動作や行動をするのをモデリングといいます。

人の成長過程では、モデリングにより学習・成長するとされています。アルバート・バンデューラは実験により、観察をすることで学習が成立すると提唱しました。

模倣学習(imitation learning)について

新しい行動や技能を獲得するとき、まず「模倣」をします。模倣の定義は「他者と同じ行動を観察することで、他者と同じ行動を産出すること。」です。

らn模倣学習は観察学習とは異なり、モデルの行動をまねることを通して成立する学習です。心理学分野でエール大学に所属していたニール・ミラー(Neal・E・Miller)とジョン・ダラード(John Dollard)はリーダーネズミが強化子を得られるようにすると、次第にリーダーと同一の行動が増加することが明らかにしました。
この結果から、モデルの行動を模倣し、そこに強化子が与えられると学習が成立することを、模倣学習としました。この結果や説明を三項強化随伴性に当てはめると、リーダーの行動が弁別刺激で、模倣による行動が反応といえます。

言語能力、社会的行動、職業能力、強化学習などは、模倣が効果的に使われている分野です。学習においては、教師がモデルになって、生徒にこうあってほしいと思うことを行動や言語で示します。
モデリングは、身体で示す手がかりや言語的手がかりといった他の行動形成の手続きと結びつけて用いられ、正の強化が与えられます。
そしてモデルや身体的手がかりと言った弁別刺激は徐々に消されますが、行動が自然環境下で統制的に行われるようになるまで続けられます。

模倣ができるかによって学習の効率が全く違ってきます。模倣を学習していない場合、最初に簡単な動作模倣などで「模倣スキル」を教え、他者の行動を模倣することを強化することを繰り返し、新しい行動も模倣できるようになります。
これはドナルド・M・ベアー(Donald・M・Baer)とジェイムズ・A・シャーマン(James・A・Sherman)によって模倣に般化の概念を導入したもので、「般化模倣(generalized imitation)」といいます。つまり真似することを学ぶという事です。

試行錯誤学習は、強化と消去を繰り返しますが、強化の効率は低く発達障害の子どもには難しいです。

模倣の例

1 行動の模倣

4色程度の積み木をテーブルに用意して「あか」といいながら、赤い積み木を叩いて模倣させます。
次に「あか、あお」といいながら、赤い積み木、青い積み木を叩くのを模倣させて数を増やしていきます。
これは聴覚で「あか、あお」と聞き分け、視覚で赤い積み木や青い積み木を叩くことを認識することで聴覚的注意と視覚的注意が標的としています。

2 言葉の模倣

「リンゴ」「バナナ」といった単語の模倣から始め、「リンゴは赤い」など短文の模倣を行います。助詞が正確に模倣できなくても構いません。
慣れたら「山の上に赤いリンゴの木があります。」といった長い文章の模倣を行います。
これには注意を持続して聞き取る力と記憶力が必要になります。

反応クラスとしての模倣

(generalized imitation as a response class)

モデルを真似することをしているうちに、直接の強化がなくても。モデルの新しい行動を真似するようになることを「反応クラスとしての模倣」といいます。

ランダムローテーション(Random Rptation)

新しい課題を導入するとき、習得済みの課題と学習中の課題を混ぜ合わせて教えることを「インタースパーサルトレーニング」と言います。
モチベーションを高く保ち、同時に問題行動を抑制しながら学習を進めていくことを可能にします。
また、習得中の2つ以上の課題を無作為に混ぜ合わせて試し、それぞれの課題の習得を確実にしていく手続きをランダムローテーションといいます。