阻止による強化と弱化
行動の強化には好子出現による強化と嫌子消失による強化がありました。
「好子消失の阻止による強化」は行動の直後に好子が阻止されると、その行動は将来起こりやすくなることを言います。
「嫌子出現の阻止による強化」は行動の直後に嫌子の出現が阻止されると、その行動は将来起こりやすくなることを言います。
好子消失の阻止による強化
例 部屋にある鉢植えの観葉植物に水を与える。
水を与えないでいると観葉植物は枯れてしまい、好子消失となってしまいます。好子消失
を阻止するために水を与えていると考えられます。
例 折り紙好きのIちゃんは掃除の時間も折り紙をやめません。そこで先生は掃除に参加しない
場合は折り紙を取り上げるようにしました。
Iちゃんは掃除の時間になったら掃除に参加すれば折り紙を取り上げられないことを経験し
たので、それ以降は掃除に参加するようになりました。
嫌子の出現の阻止による強化
例 猫背になりがちなJさんは猫背になると、奥さんに「背中が曲がっているよ」と注意されて
背中を叩かれます。あまりに強い力で叩かれるので、注意されたらすぐに姿勢を正すよう
になった。
例 戦争で実際に戦った元兵士は、敵国の兵士に対する憎しみがあるわけではなく、戦わなけ
れば自分がやられてしまうという考えで戦っていたという者が多かった。
警告刺激(warning stimulus)
嫌子が出現する前に何らかの警告が出る場合、その警告自体が嫌子になるので警告を受けないようにしようとします。このような警告を警告刺激といいます。つまり嫌子出現に先行する刺激で、結果的に習得的好子として機能する刺激のことです。
好子出現の阻止による弱化
例 積木を20段積み上げるとご褒美がもらえる約束だったのに、あと少しで油断してふざけて
積み上げようとしたら、積木を崩してしまいました。次は油断しないようにあと少しに
なってもふざけないようにしました。
例 A君は幼稚園で他の子をいじめた結果、10時のおやつがもらえなくなったので、いじめな
くなりました。
嫌子出現の阻止による弱化
例 雑巾がけをしようと雑巾を力を込めて絞ったら雑巾が破けてしまい、雑巾がけができなく
なりました。それ以来は雑巾をあまり強く絞らないようになりました。
まとめ
好子消失の阻止による強化 | 好子が失われないように事前にある行動を取ること。 |
嫌子出現の阻止による強化 | 嫌子が現れないように事前にある行動を取ること。 |
好子出現の阻止による弱化 | 好子が得られなくなるような行動をしなくなること。 |
嫌子出現の阻止による弱化 | 嫌子が除去できなくなるような行動をしなくなること。 |