プロンプトとプロンプトフェイディング、過剰修正法について

プロンプトとは

プロンプト(prompt)の定義は「行動の遂行の直前や遂行中に提示される補助的な刺激であり、強化を受ける行動が起きやすいように手助けするものである。」です。つまり、正しい行動を生じさせるための手掛かりやヒント、手助けといったものです。

プロンプトの種類

言語プロンプト …言語によるプロンプトのことで、「○○してください」といった声掛けや、「ありがとう」と発話させるために「あ」「あり」と語頭の文字をヒントとして言ってあげるなど。言語プロンプトには教示、ルール、説明、ヒント、助言、質問、その他の言語的な援助が含まれます。

身振りプロンプト…指さしやジェスチャーによるプロンプト。

モデルプロンプト…モデル教示とも呼ばれ、実際にやってモデルを示すことで正しい行動を起
こりやすくするプロンプト。

身体プロンプト …身体ガイダンスとも呼ばれ、身体的に手助けするプロンプト。適切な操作
をしたり、適切な選択をするために手を添えてあげたり、正しい動きをす
るように体を持って誘導して上げたりするプロンプト。例えば積木模倣の
課題であれば、子どもの手を持って適切な積木を選ばせ、適切な場所に置
くように誘導するようなプロンプトです。

位置プロンプト …選択しないといけない刺激を近くに置いてあげたりして目立たせるプロン
プト。

視覚的プロンプト…スケジュールや写真を用いて、見通しを持ちやすくしたり、分かりやすく
するプロンプト。例 漢字練習帳の薄い線、点線など

基本的には、言語プロンプト<モデルプロンプト<身体プロンプトの順に侵襲度が高くなります。侵襲度とはプロンプトとしての刺激の強さであり、侵襲度が低いほど自立的な動きに近づくため、可能な限り侵襲度の低いプロンプトを用いなければなりません。侵襲度の高い強めのプロンプトを用いて正しい行動を経験し、徐々にプロンプトを弱めていきます。

プロンプト・フェイディング法について

その方法として、「プロンプト・フェイディング法」では、良い行動を増やすため、様々な手がかりとなる刺激(プロンプト、介助刺激)を与えて、良い行動を確実にひき出し、次にそのプロンプトを徐々に減らしていくことで、介助や手がかりがなくても行動がスムーズに行えるようにする方法です。
適切な行動生起がなければ、強めのプロンプトを与え、行動全体が流れるように調整していく必要があります。適切な行動については、行動レパートリーの中にあるという前提です。
プロンプトは、補助的なものであるために、フェイディングされるべきものであると考えます。「プロンプト依存」という言葉もあり、できればプロンプトはない方が良いものです。

過剰修正法・オーバーコレクション(over correction)

挑戦行動などの望ましくない行動に対して、その挑戦行動によって変容、破壊された環境を元の状態以上に過剰に環境を復元し修復させることによって行動を抑制しようとする「正の罰」の一形態です。単に元の状態に戻させる場合も含めることが通常です。
あるいは挑戦行動をその行動の代替となる正しい行動を必要以上に反復して練習させ、修正させていくことで積極的練習といいます。いずれの場合もプロンプトが必要なことが多くあります。叱責は、挑戦行動が起こった後に与える言語的な正の罰です。普段と違う声のトーンを使い挑戦行動を直接的にまた端的に非難するきつい言葉です。