迷信行動とは

迷信行動(Superstitious Behavior)

ガスリー(Guthrie)とホートン(Horton)が1946年に行った実験では、箱の中央に棒をぶら下げ、どの方向にその棒を傾けてもドアが開き箱から出ることが出来る簡単な仕掛けを作ってネコを入れました。入れられたネコが棒を傾けると、設置されているカメラのシャッターが切られるようになっており、猫がどのように棒を傾けたかを記録しました。

その結果、最初の2,3回を過ぎると特定の方向にだけ棒を傾けるようになりました。ただ、棒を傾ける方向やその方法は個別の猫ごとに異なっていました。つまりネコは何か偶然うまくいった行動があると、それが正しいと思い、その行動のみを繰り返し他の方法を取らなくなったことになります。

偶然生じた行動が強化される事でその行動頻度が増していくこのような行動を迷信行動と呼びます。このような偶然の経験による迷信行動を偶発的随伴性によるものといいます。

迷信行動の実験

現在までに迷信行動に関する研究は数多く行われていますが、代表的な実験に1948年に行ったスキナーによる「迷信行動の実験」があります。
スキナーは、ハトをスキナーボックスと呼ばれる実験箱に入れどのような行動を取ったかにかかわらず、15秒ごとに食物を与えました。ある時間が経過した後にハトの行動を観察すると8羽のハトのうち6羽が食物を提示されるまでの間に、個別に特定の行動を繰り返すことが分かりました。
ハトはあたかも「その行動が食物の出現する原因である」かのように振る舞ったとして、これは人間の迷信と同じメカニズムで形成されたものだと考えました。つまり、迷信的な行動はオペラント条件づけによって形成されうるという事になります。

様々な迷信行動

人間はさまざまな形で迷信的な行動を示すことが実験によって明らかになっています。例えば、4つのボタンのうち左から3番目のボタンを押すことによってのみコインが得られるような場面では、多くの人は他のボタンを何度もおしてから最後に3番目のボタンを押します。その時、コインの提示とは関係なくたまたま近くでランプが点滅していると、ランプがついているときだけボタンを押したりします。このように行動と結果の関係が明瞭でない場合、全ての選択肢を選んでから結果につながる選択肢を選ぶことを並列迷信(concurrent superstition)と言います。

人間においては、スポーツ選手が試合前に行うジンクスなどを思い浮かべると分かりやすいです。また、ギャンブルのような個人で勝敗をコントロールできないような場合に、迷信行動は頻繁に生じるという研究もあります

ルール支配行動による迷信行動

迷信行動には、もうひとつルール支配行動による場合もあります。それは他者から与えられた社会的ルールとしてその行動を教えられたりする場合です。

例えば夜に爪を切ってはいけない、朝のクモは縁起が良いから逃がす、三人で写真を撮る時に真ん中の人が速く死ぬ、これらは偶然に経験するものではなく他者から教えられて信じることで行われている行動といえます。