好子の出現や消失による強化と弱化

好子出現による強化

好子出現による強化とは、ある行動の直後に好子を提示することで行動を増大させることを言います。

つまり、行動した後に何か良い刺激が出現することで、その行動が増えることです。私たちの多くの行動はこの好子出現による強化によって維持、増大していきます。

例 電話をかけるという行動は、相手が出るということで強化されます。

例 仕事をするとお金を稼ぐことができ、良い結果を出せば上司から賞賛されたり、昇進する
事もあるので、頑張って仕事をしている。

例 会議で発言してほしいと思ったら、会議で発言した(増やしたい行動)後に、発言者の社員
に対して笑顔を見せれば(好子を出現させる)、社員たちの発言数を増やすことができま
す。

例 営業のノルマを与えられ、1日100件の営業電話をかけたら、上司から1日にそんなに電話
をかけて頑張っていることが認められ期待された。その後、営業電話をかけることが増え
た。

例 教室にいても介抱してもらえないので、保健室に行ったら介抱してもらえた。その後、介
抱してもらいたくなったら保健室に行くようになった。

例 A君はあるパン屋で、パンを買いました。店員が好みのタイプの女性だったので、その女
性を見かけて以来頻繁にそのパン屋でパンを買うようになりました。

例 食事の時に姪のBちゃんは、食事を手に取って自分の顔にベチャベチャと塗りたくって
いた。姪の母はそれをやめなさいと注意すればするほど、姪は面白がって顔に食事を縫っ
ていく。

好子消失による弱化

行動した後に何か刺激がなくなることで、その行動が減ることを「好子消失による弱化」といいます。

もし電話をかけても相手が出なかったら、電話をかける行動は減少していくでしょう。仕事をしてもお金を貰えなかったり賞賛されなかったりしたら、仕事をすることも減っていくでしょう。このように、行動を維持していた好子が、行動の直後に出現しなくなって、行動が減少していくことを「弱化」といいます。

例 昼休みに同僚から仕事を手伝ってと言われて手伝ったら、昼休みの時間がなくなったの
で、同僚の仕事を手伝うということが減った。

例 授業中にスマホをいじっていたら没収されたので、授業中にスマホは出さないようにし
た。

好子消失のための弱化には反応コスト(response cost)とタイムアウト(Time Out:TO)という方法があります。反応コストは好子の提示をやめる(除去する)事によって行動を弱化することです。反応コストは弱化の手続きがあり、それには副作用があるのであまり勧められません。タイムアウトは好子への接触を禁止することによって行動を弱化することです。

・反応コストの例
料理を手伝わなければご飯の量を減らす。
テレビを2時間以上見たら、ゲームをさせない。

・タイムアウトの例
C君は授業を放り出して、隣のクラスの女子を見に行ってました。それに困った担任の先生
はC君に授業を途中で抜け出したら、その日は隣のクラスへ行くことを禁じました。
その結果、C君は授業中に教室を抜け出さなくなりました。