ノードフ=ロビンズの音楽療法とは
ノードフ=ロビンズの音楽療法とは、作曲家ポール・ノードフ(Paul Nordoff)と療育家クライヴ・ロビンズ(Clive Robbins)によって創始された音楽療法です。
ノードフ=ロビンズの音楽療法は臨床即興(clinical improvisation)あるいは創造的音楽療法(Creative Music Therapy,CMT)ともいわれます。
世界で認められている音楽療法は5つあり、ISO理論による音楽療法(ベネンソン)、精神分析的音楽療法(プリーストリー)、行動療法的音楽療法(マドセン)、イメージ誘導音楽療法(ボニー)そして、創造的音楽療法(ノードフ・ロビンズ)です。
いずれも提唱者の考え方に基づいて実施され、それぞれが大きな影響力を持っているものですが、21世紀になってから、ドイツ文化県や北欧において新しい音楽療法の動きが活発になっていることもあり、ここにあげた5つの音楽療法が主流であるとは言い切れないようです。
ノードフ=ロビンズの音楽療法は主に発達障害児や自閉症児など障害のある子どもを中心に行われています。形態は個人療法とグループ療法があり、セラピストは2人でペアになって一人がピアノを弾き、もう一人が子どもと関わって治療にあたります。
この音楽療法の大きな特徴としては、「即興演奏」が中心となっていることです。これは、一人一人の持っているテンポやリズム、声の高低などがそれぞれに違っているので、セラピストがそこにいる瞬間の子どもの音楽をその場でつくり出し、それを音楽療法の中でのコミュニケーションの手段として活用しようとするものです。
その子の特徴と、反応の様子を見極めながら、ピアノで即興演奏をしてその子の音楽的な関わりを結んでいき、子どもに呼び掛けるような歌を即興で歌ったりもします。楽器(太鼓やベルなど)のできる子には楽器を持たせ、あるいは声や歌、それができない子は、ただ泣き叫ぶ声や、手足を揺さぶる動作でさえセラピストはそれにテンポやリズムを合わせたりメロディーをつけたりして、子どもの表現を受け止めて、音楽で会話します。
例えば、「アーア」としか声が出せない子どもと関わっていくときに、そのピッチを抑揚とリズムを同じような音で返し、それを聞いてまたその子どもが反応し、それを音で返していくというようなプロセスを行います。
どこか母親と赤ちゃんとの対話のようで、それを繰り返していくとセラピストと子どもとのコミュニケーションが段々と生まれて、表現力が増えてきます。このように何か刺激を受けたものから子どもが反応し、それを受け止めてくれる大人とのやり取りを通して、社会性を養うことが出来るわけです。
セッションのあとはインデックスという分析作業を行います。2人以上で行ってクライエントの反応を客観的に分析してこれからの両方の方針を見極めていき、インデックスによって技術が受け継がれていきます。
参考
和歌山大学教育学部教育実践総合センター紀要No17(2007)
太成学院大学 乳児期における音楽療法の可能性と課題・堀清和
全日本ピアノ指導者協会(ピティナ)ノードフ・ロビンズの音楽療法
日本大学広報特別版第42号(2017)
日本ミュージック・ケア協会 加佐ノ岬倶楽部音楽療法研究所サイト
イミオン(意美音)サイト
Wikipedia
障害児音楽療法における非言語認知概念にもとづく仮説構築に向けての試論