音楽療法について④ 音楽療法とは

音楽療法の定義

日本音楽療法学会の定義では、「音楽の持つ生理的、心理的、社会的働きを用いて、心身の障害の回復、機能の維持改善、生活の質の向上、行動の変容などに向けて、音楽を意図的、計画的に指標すること」とあります。

また、アメリカ音楽療法協会AMTA(American Music Therapy Association)の定義では「音楽療法とは精神と肉体の健康を目指し、何かできるようになるための訓練(ハビリテーション)社会復帰のためにいろいろなことが再びできるようになるための訓練(リハビリテーション)そして、障害児特別教育などを受ける必要のある人々を助けるために、専門的に音楽を活用する方法である」とされています。

英国音楽療法協会の創始者で、日本の音楽療法にも大きな影響を与えたジュリエット・アルヴァンは、「音楽療法とは、身体的、精神的、常同的な失調を持つ成人や児童の治療、リハビリテーション、教育、訓練のために音楽を統制的に活用することである」と定義しています。

どれも人が心身ともに健康に生活することを目指し、音楽を専門的・意図的に使用することを述べています。しかし、音楽療法は音楽活動という娯楽の要素も含んだ活動であるため、対象者に合わせて柔軟にデザインすることができ、また強制的な印象を対象者にほとんど感じさせることなく行うことが出来ます。

音楽療法が適用される分野

広義の音楽療法のフィールドは大きく、保健、福祉、教育、医療という4つの分野に分けられます。対象者として分類すると、高齢者(認知症を含む)、精神疾患(統合失調症など)、知的障害者(児童を含む)、様々な疾病を有する対象者、および健康な成人・高齢者となります。

音楽療法の治療構造

音楽療法に当たってまずするべきことは、依頼者である保護者やクライエント(音楽療法を受ける子ども)の障害や家族構成、生育歴、発達の状況、音の好みなどを把握します。

さらに、セッション(音楽活動)を通して状態像を的確に捉えることが求められます。

また、音楽療法の目標を設定して保護者にも確認します。

音楽療法でのセッションではクライエントの様子を詳細に記録して、行動の変容について考察します。セッションの様子や行動の意味を保護者に分かりやすく伝え、セッションを振り返って整理することが最も重要になります。

セッションでは歌や楽器を使い、曲は既成の曲や即興音楽で行うこともあります。

発達障害児と音楽療法

発達障害のお子さまに対しては、音楽療法の目的はそのお子様の発達を促すことにあります。子どもの発達には、外界からの刺激を受け、それを吸収し、自分でいろいろな表現の方法を体得して育っていくものですが、発達障害のお子さまの場合、障害のために刺激の受け方が不十分であったり、表現の方法や手段が乏しかったりする場合がありまう。その時に一つの入りやすい刺激として、また表現手段として音楽を用い、発達を促すために音楽療法を行います。

参考

和歌山大学教育学部教育実践総合センター紀要No17(2007)

太成学院大学 乳児期における音楽療法の可能性と課題・堀清和

全日本ピアノ指導者協会(ピティナ)ノードフ・ロビンスの音楽療法

日本大学広報特別版第42号(2017)

日本ミュージック・ケア協会 加佐ノ岬倶楽部音楽療法研究所サイト

イミオン(意美音)サイト

Wikipedia