小児期崩壊性障害について

小児期崩壊性障害とは

1908年にオーストリアの治療教育学者のT.Hellerが、3~4歳の時期に著しい退行を示した6例の子どもを幼年痴呆として報告したのが最初です。その後、ヘラー氏病、ヘラー症候群、または崩壊精神病などさまざまな名称で呼ばれてきました。現在では広汎性発達障害のカテゴリーに含まれています。対人反応障害や有意味語消失などによって退行していく現象をいいます。

小児期崩壊性障害の原因

この小児期崩壊性障害の原因は明らかになっておらず、様々な要因が関与して生じているといわれています。「脂質代謝異常」「亜急性硬化性全脳炎」「結節性硬化症」「副腎白質ジストロフィー(ALD)」「異染性白質ジストロフィー(MLD) 」などの病気が関連しているのではと考えられています。小児期崩壊性障害の発生率は約0.005%で、2万人に1人程度とされています。

また、発生数は女児よりも男児のほうが4倍から8倍ほど高いといわれています。

小児期崩壊性障害の症状

小児期崩壊性障害の症状は、精神発達の退行が見られることです。生後少なくとも2年間の年齢相応な発達の後、言語理解、言語表出、非言語的コミニュケーション、対人関係、遊び、適応行動などの多くの領域にわたって著しい退行を示します。 例えば、言葉がなくなる”有意味語消失”が特徴的です。また、執着心が強くなったり、常同行動なども見られることがあります。精神発達の退行症状は半年以内にストップしますが、自閉的な状態はそのまま続いてしまいます。

発祥の直前には理由の不明な「イライラや怒り」「言うことを気かない」「不安」などの状態になる様子が見られます。

次に上げる項目の中で2項目以上の能力の後退が見られます。

・表出面または受容面の言語能力

・対人関係や適応行動能力

・排尿または排便の能力

・遊びへの興味

・運動に関する能力

小児期崩壊性障害の治療

現在のところ、小児期崩壊性障害に対する明確な治療法は確立されていないのが現状です。そして、小児期崩壊性障害の治療が行われるときは、子供の精神発達の退行がストップした後の自閉状態のときが多い。このような自閉状態がはっきりと見られる子供に対しては自閉症と共通した治療法が行われます。自閉状態が自閉症よりも重いために、予後は厳しくなるといわれています。

参考:発達障害-自閉症.net,文教大学人間科学部大辞典