シェイピング技法・漸次的接近反応の分化強化
(Differencial Reinforcement of Successive Approximations)
模倣が使えないような場合や模倣と一緒に使うものとして、「シェイピング」という技法があります。
シェイピングの定義
シェイピングの定義は「目的行動と似ている行動だけを次々と分化強化(分化弱化)していく手続き」です。
複雑で新しい行動を獲得させるために、標的行動をいくつかの段階に分けて(スモールステップ)、達成が容易なものから順に形成(強化)していきます。
初めは本人ができる行動の中で、教えようとする行動(標的行動)に最も近い行動を強化します。
シェイピングの種類
シェイピングには以下の2つの種類があります。
・固定的結果によるシェイピング(fixed outcome shaping)
行動が基準を満たしたときに一定量の好子が与えられる。あるいは行動が基準を満たさない
時に一定量の嫌子が与えられるシェイピング。
・変動的結果によるシェイピング(variable outcome shaping)
行動が目的行動にだんだん近づくにつれて、好子の量が増加する。あるいは嫌子の量が減少
するシェイピング。
例
新入社員がいきなり完璧な書類を作成するのは難しいので、はじめは書類の提出を条件に褒める。
→ 次に正しいレイアウトで書くことを条件に褒める。
→ 最後に正しい形式と内容が両立していることを条件に褒める。など
例
スプーンを使ってスープを飲む行動を標的行動として考えると、子どもが最初はスプーンに見向きもしなければ、まずはスプーンを見ることから強化します。
強化すると行動は増大します。
スプーンを見る行動が増えたら、今度はそれだけでは強化しないようにして消去します。消去すると消去バーストが起こり、それと同時に他の色々な行動が出現します。そしてスプーンに向かって手を伸ばす行動が増大したら、また消去します。
次にはスプーンに触る行動、スプーンを握る行動、スプーンを持ちあげる行動と、強化と消去を繰り返し、次第に標的行動に近づけていきます。
このように、シェイピング技法では、目標とされる行動をいきなり獲得させるのではなく、最終的な目標行動に至るまでの行動を、容易にできるものから順にスモール・ステップで段階的に分割します。
容易な段階から順に、その行動が生じたら強化を行うことで、徐々に目標行動の獲得へ近づけていきます。
シェイピング技法の留意点
(1) 標的行動を正確に明確化する
(2) すでに達成出来ている行動を確認し、シェイピングされるべき行動を選択する。
(3) 大きすぎず小さすぎないステップのサイズを設定する。
漸次的接近法・漸次的近接法・継次的接近法
(Method of Successive Approximation)
シェイピングのなかで、自発的な行動の頻度であるオペラント水準が極めて低い反応の場合、目標行動に類似もしくは関連する反応を段階的に強化していく方法のことです。
自閉症や発達遅滞、不登校に対する行動療法として用いられることが多くあります。