ソーシャル・ストーリーズTM について2 作製法について

ソーシャルストーリーの作製法

①子どもに自信を持たせながら、 社交情報を分かりやすく丁寧に伝えようとするものです。全体の少なくとも50%は達成したことを賞賛します。

・できたことを褒めてもらえるような文章が、できていないことを指摘するような文章より多くないといけません。これはソーシャルストーリーがその子の成長の記録でもあるからです。

・「何をしちゃだめ」、「何をすべき」という否定的な言葉も避けなければなりません。言葉の選び方によっては、自己の「全否定」として受け取られかねないからです。

②各ソーシャルストーリーには、テーマをはっきりさせる導入部、詳しく説明する主部、情報を補強してまとめる結論部があります。

・導入部は、話題の導入です。例えば「あいさつ」に関するストーリーなら、「人と人とが会うと、あいさつをすることがあります」のような文章です。

・主部は、そのストーリーの主な説明部分になります。例えば「あいさつ」なら、「知っている人に会ったら、相手を見て笑顔で『こんにちは』と言います」などです。

・結論部はストーリーの締めになります。

例えば「あいさつ」なら、「あいさつをすると、相手もあいさつをしてくれることが多いです」

③1人称あるいは3人称の視点で書きます。2人称は命令形の文章になりやすいので避けます。

・1人称は「私は~」といった形で進む文体です。

・3人称とは「人は~」といった俯瞰した形の文体です。

④必ず事実文を入れて、あとの5文型(見解文、協力文、指導文、肯定文、調整文)からは、一つあるいはいくつかを選択します。

例えば「あいさつ」なら、

・事実文は書き手の意見や思い込みを排除して事実のみを書く文です。

「人は、知っている人同士が合うとあいさつをします」

・見解文は知っていること・考えていること・感じていることなどを描写したり説明したりする文です。

「多くの大人は、知っている人と会ったらあいさつをするよう心がけています。」

・協力文はそのソーシャルスキルに関して誰が何をサポートしてくれるかを書く文です。

「先生は、あいさつの練習の時に私に挨拶のタイミングを教えてくれます。」

・指導文は具体的なソーシャルスキルの内容で、

「私の知っている人に会ったらあいさつをしてみようと思います」

「~します」など断言すると当事者にとって窮屈なので避けます。

・肯定文は前後の文の内容を強調することで価値観や意見を表現して肯定する文です。

・ソーシャルストーリーは基本的に5W1Hに答える形式をとります。

・調整文はストーリーを参考に情報を思い出したり活用したりするための事を本人が書き加える文です。

「学校で先生にあった時は。あいさつしようと思います。」

⑤5W1Hとは、「いつ」「どこで」「だれが」「なにを」「なぜ」「どのように」ということです。

・子どもたちの疑問に応えるもので、テーマについての基本的・具体的な情報は正確な見通しが持てるようにする役割を果たしています。

⑥指示よりも説明を多くし、指導文や調整文より、事実文・見解文・協力文、肯定文の合計が2倍以上になるようにします。

⑦前向きな表現を用います。

・例えば「あいさつ」なら、「知っている人と会ったら何も言わず素通りしてはいけません」ではなく、「知っている人に会うと、普通『こんにちは』と言います。といった感じです。

⑧読み手の子どもの特性と興味・関心に合わせた書式スタイルになっていて、発達障害の方は、言葉の裏の意味の理解が苦手な場合がありから、字義通り正確な表現にします。

また、その人の理解力に合わせたオーダーメイドのものであるように努めます。難しすぎると理解がたいへんですし、簡単すぎると「馬鹿にされている」と感じてしまうからです。

⑨本文の意味を補強する写真やイラストを、付け加えるすることもあります。これは視覚的な情報により理解を促すためです。ただし、絵や写真によってその人の注意が本筋とずれないように気をつけましょう。

⑩タイトルは、ソーシャルストーリーの判定基準の全てに適合させます。

・ソーシャルストーリーにおいてタイトルは重要です。そのためソーシャルストーリーのタイトルはソーシャルストーリーのルールを踏まえた内容にします。

・考え方としては「肯定的で分かりやすくシンプルなもの」にしましょう。

例えば「あいさつ」なら「あいさつの仕方」などです。「あいさつをしなさい」などではダメです。

ソーシャルストーリーは本人の行動を非難したり、健常者の行動を無理強いしたり、「~しなければならない」と義務を提示する類のものではありません。ソーシャルストーリーを用いる祭には、当事者をストーリーでコントロールしようとしてしまわないように気をつけましょう。

参考

Amazon

障害者関係専門書店スペース96

セイウィダム 育児と医療のコミュニケーションスキル情報サイト

沖縄県立総合教育センター 後期長期研修員第55集 2014年

岡山大学だ久貝院教育学研究科研究収録第141号 2009年

千葉県総合教育センター

三重県教育委員会事務局研修分野 2009年

NPO法人つみきの会