確立操作とは

確立操作(Establshing Operation:EO)

確立操作の定義は「特定のものや事象の強化刺激としての効力を決定し、同時にその際生起している行動の増加、減少を決定づける操作」です。
簡単にいえば、好子や嫌子の効果量を強めたり弱めたりして変える操作のことです。

例 お腹いっぱいの状態で食べるカレーと1日何も食べていない状態で食べるカレーでは、カ
レーという刺激は同じでも、効果量が異なる。

この例は「遮断化」されていて出てくる好子や嫌子か、「飽和化」されていて出てくる好子や嫌子ではその強さが違うということができます。

遮断化(deprivation)

刺激、出来事、条件を一定時間提示しないでおくと好子として機能するようになることを、「遮断化」といいます。

例 お腹が空いているときに食べるものはおいしく感じる。

例 犬のしつけ
① 犬にしばらくエサを与えず、空腹状態をつくります。(遮断化)
② 偶然犬がおすわりをした時にエサを与えます。
③ 次から犬はエサが欲しくておすわりをしやすくなります。

飽和化(satiation)

ある好子を大量に摂取した結果、その好子の強化効果が減少することをいいます。

例 流行が大きくなって、誰もが持っているような状態になると今度はそれほど欲しくならない。

遮断化と飽和化の効果

好子の遮断化は好子の即効的な効果を高め、好子の大量摂取は即効的な効果を減少させることをいいます。

労働量と飽和化・遮断化の関係

ある好子を得るための労働量が多ければ多いほど飽和化は早く起き、遮断化が大きければ大きいほど労働量の多い反応でも行うことできるようになります。

この時の遮断化と飽和化をさせることを確立操作といいます。

確立操作の機能には以下の2つがあります。

(1) ある事象の強化効果を変化させる機能。

(2) そういった事象と関係する行動の生起頻度を変化させる機能。

確立操作の種類

確立操作は大きく2つに分類すると以下のようになります。

特定的な確立操作

特定の強化効果に影響を及ぼす確立操作で、例えば好きな活動のアクセスが制限されればされるほど、その活動へのアクセスは、正の強化として強力に機能するようになります。
しかし、この状態は好きな活動ではない行動のアクセスに対しては強化効果には影響を及ぼしません。
同様に、苦手とする計算問題の提示頻度が増加するにつれ、課題からの逃避は負の強化として強力に機能するようになります。
一方でこの状態は、他の苦手な勉強や行動、例えば漢字課題や掃除を行う事への逃避の強化効果には影響を及ぼしません。

般性的な確立操作

般性的な確立操作は、より広い結果が様々な行動への強化効果に影響を及ぼす操作を指します。例としては、睡眠不足が挙げられます。
睡眠不足は通常は正の強化として機能する様々な好子などの強化効果を減じるだけでなく、様々な行動や課題からの逃避といった他の事象の強化効果も増大します。

確立操作の手順としては以下のようになります。

(1) 指導前に好子の摂取を制限します。
動物のトレーニングをする際には、エサを好子として使うことが多いのですが、よりその
エサを魅力的なものにするため、食事を「遮断化」してから、トレーニングに臨むそうで
す。

(2) 他の仲間や大人に好子を渡します。

(3) 指導者が好子で遊んでいるところを見せます。

(4) 見ることはできるが、手が届かないところへ好子を置きます。

(5) 好子に接近させません。

(6) 行動を続ける上で必要なものを隠します。

(7) 活動中に物を隠します。

(8) ルーティンとなっている作業を中止します。

他に確立操作の例として、「期間限定」「○○店限定」「先着○名まで」であったり、「○○大学教授推薦」「○○kgのダイエットに成功した、あの芸能人のお墨付き」というようなもので商品購入を高めようと確立操作をします。

普段からよく褒めてくれる先生から褒められるのと、めったに褒めてくれない先生から褒められるのでは、その後の行動に与える影響は違ってくるでしょう。

また、確立操作という用語は「動機づけ操作」(Motivating Operations:MO)とも呼ばれることが多くなってきています。

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