本田秀夫先生による自閉症スペクトラム症の育ち方

本田先生の経験によって、自閉症スペクトラム障害の育ち方を4つのタイプに分類しています。

1 特性特異的教育タイプ

これは個々の発達特性に応じて必要な課題を適切に与えられて育っているタイプです。本人が興味を持って取り組める手法をちゃんと与えられています。

そして、少しの努力で短期間に達成可能な目標を設定してもらい、それをクリアすることによって達成感を得るという事をこまめに繰り返しています。他の人に気軽に相談できる環境も提供されています。

このような特性特異的教育タイプの環境で育った人は、真面目で安定した性格になりますし、得意領域がきちんと伸びます。

2 放任タイプ

放任タイプは、発達特性に対する理解が全く得られていないという環境です。通常良しとされる子育て・教育環境は、自閉症スペクトラムの子にとって、必ずしも恵まれた環境とはいえません。一般の子どもにはそれで良くても、自閉症スペクトラムの子には、それは適切ではないということがあるわけです。

このような放任タイプの環境で育った人は、不安が強く、他の人への猜疑心が強くなります。情緒不安定で、他罰的、攻撃的になります。さまざまな精神症状が併発しやすくなりますし、将来について無関心で、見通しが持てなくなります。

3 過剰訓練タイプ

過剰訓練タイプは、発達特性があるということに、親をはじめとした周りの人たちが気づいているにもかかわらず、その存在を否定して、本人の苦手なことを克服させるために過重な課題を与え続けるという環境です。逆に、本人が好きなことや特異なことはあまり認めません。

このような過剰訓練タイプの環境で育った人というのは、大人になるとストレスがかかることをことさら避けるようになりますし、無気力、無関心になります。

4 自主性過尊重タイプ

これは、支援者が本人のストレスを軽減することだけを重視するという環境です。自閉症スペクトラムの子は得意な能力もあったりしますので、得意な能力を伸ばそうという発想があるのは良いことなのですが、苦手なことは一切やらないでいるとこのタイプになります。

このような自主性過尊重タイプの環境で育った人は、好きなこと以外は全くやりません。仕事も「やってやる」という傲慢な態度が身についてしまいます。

自閉症スペクトラム症は、何といっても早期発見が極めて大切です。その意義としては、家族に適切な目標設定ができれば、本人のメンタルヘルスを守りつつ、社会参加を促せるということが挙げられます。それによって、家族のメンタルヘルスも守られることになります。一方、リスクとしては、家族が早くに子供の問題に気付くことによって、模試過剰な訓練を助長するようなことがあると、本人に二次的な精神的変調を誘発する恐れがあります。また、それによって家族のメンタルヘルス自身も悪化する恐れがあります。したがって、早期発見をするときには、どのような方針で早期発見を行って、家族を支援していくかという方向づけが非常に重要になってきます。

参考

私の薦める本 自閉症関連書籍 育てる会会報242号より2018年

シェアする

  • このエントリーをはてなブックマークに追加

フォローする