音楽療法について⑥ 加賀谷式音楽療法とミュージック・ケア

加賀谷式音楽療法とミュージック・ケアとは

加賀谷式音楽療法は加賀谷哲郎を創始者とする約70年続く音楽療法の手法で、日本で最も歴史が古いものの一つです。

加賀谷哲郎によれば、音楽療法の理念は「歌を覚える、楽器を弾くといった技術的な側面での方法論ではなく、この音楽を伝え、感じ、共感し合うという心の問題こそ、障害児に対する教育、音楽療法における大切な理念である」といい、音楽療法は「音楽の特性を生かし心と心を響かせあうこと」がその目的としています。

さらに「人間と音楽の係わり合いはそれを伝え,感じ,共感しあうという原則の上で成り立っており,音楽の特性としては,色やかたちで表すことのできないものであり,時間的空間の芸術であり,十人十色であり,どんな演奏をしても,楽しみ方をしても自由である。」ともいっており、集団や場の構成によって効果が期待できる技法としています。

そして、加賀谷式音楽療法を基礎理論とした集団音楽療法をミュージック・ケアといい、日本ミュージック・ケア協会があり、もっとも関係者の多い音楽療法団体です。

ミュージック・ケアは実践の現場からボトムアップ的に創案された集団音楽療法活動です。したがって独奏や個別指導はありません。

ミュージック・ケアにはさまざまなクライエントが参加して、セラピスト(リーダー)が楽曲を選定し、コ・セラピスト(副リーダー)が支援するという形態で進めます。

即興も交え、さまざまな独自のプログラムを展開していきます。プログラムの内容や進行はセラピストの人柄や専門性にあふれたものが、参加者の顔ぶれやその日の状況に応じて工夫します。

ですから各セッションや動きには、そこにこめられた意味や意図があります。

音楽CDを流したり電子ピアノなどの演奏により、障害児とその保護者も参加します。

音楽に積極的に楽しむために、鈴、マレット(バチ)、鳴子、キャンディボール、ピコピコハンマー、ミュージック・ケアのオリジナル楽器であるポコドリやキララなどを手に持ってセッションをします。

また、音楽を感じるためにシャボン玉、フラップバルーン(縫い合わせた大きな布で、みんなで上下に動かす体験をする)、かごりん、ボール、紙、ペン、ボード、ビニール袋、新聞紙なども利用します。

音楽を伝える手段としてタッピング、マッサージ(おしりや頭、肩、頬、お腹をさする)、見せて、触って、風を感じてなどの方法や身体表情表現として体を動かし肩まで腕を上げたり、足を開く、深呼吸などの動きもあります。

参考

和歌山大学教育学部教育実践総合センター紀要No17(2007)

太成学院大学 乳児期における音楽療法の可能性と課題・堀清和

日本大学広報特別版第42号(2017)

日本ミュージック・ケア協会 加佐ノ岬倶楽部音楽療法研究所サイト

イミオン(意美音)サイト

Wikipedia